研究概要 |
本研究は幼児の育児環境およびその生体影響を簡便でより客観性の高く検索する方法として非侵襲的および幼児に影響の少ない方法で採取できる尿や毛髪,爪等の生体試料の有用性を検証することを目的としている。 仙台市内の幼稚園および園児の父兄の協力を得て調査した年長児41名(男児21名,女児20名)を対象にして採取した2日間の逐次全尿の500検体を対象に検討を行った。 検査項目は尿量、クレアチニン濃度,尿比重,尿中17-OS濃度,尿中Cl,Zn,Cu等の微量元素とした。尿中17-OSは臨床検査用キット(OSKIT,関東化学)を用い,尿中Clはクロライドカウンターを用いて測定し,他の微量元素類は湿式灰化処理後,発光分光分析質量法等で測定する。なお,園児の身体計測値や家庭での園児の食事や生活時間の様子についてはアンケート調査により把握している。 1)年長児の一日の尿排泄の成績(いずれも平均値±標準偏差で表示)を男女別に見ると,排尿回数は6.4±1.6と5.6±1.6,尿量(ml/日)は430±106と417±188,クレアチニン排泄量は(mg/日)は295±65と227±79であった。尿量およびクラチニン排泄量は文献値に比して低値である。 2)尿中17-OS値の男女別の成績は,一日排泄量(mg/日)は0.36±0.11と0.29±0.15,クレアチニン当量値(mg/g)は8.2±4.0と7.8±5.8であった。個人差が大となっている。 3)尿中Cl排泄量の男女別の一日排泄量(g/日)は2.16±0.61と1.79±0.68である。 4)尿中代謝物の日内,日間変動と各自の家庭での生活の様子,とくに生活時間調査の成績と対応させて解析を行った。
|