研究概要 |
本研究の目的は以下の問いに答えることである。 問い1:「数学の中心的な活動である論証は,民主的な資質を育成できるか。」 問い2:「現行の論証指導は,生徒の民主的な資質を育成できているか。」 問い3:「もし育成できている/いないとすれば,何が原因か。」 問い4:「その原因を克服するために,論証指導カリキュラムをどのように改善すればよいか。」 特に、平成13年度は、問い3に答えることを主な目的とした。 この目的を達成するために,前年度実施の調査結果のデータ分析と,論証指導による影響の原因究明を実施した。 1.データ分析 論証指導の事前・事後調査質問紙のデータについて,重回帰分析・因子分析を行い,論証指導の影響を量的にとらえた。また,論証指導の前授業およびインタビュー調査についてビデオ分析を行い,論証指導の影響を質的にとらえた。 2.論証指導による影響の原因究明 データの量的分析から,民主的な資質を育成する要因/妨げている要因として,有意な要因と,要因間の因果関係を特定した。ただし,重回帰分析・因子分析等の結果が膨大な量であり,全てを考察するにいたっていない。また,質的分析による結果から,要因間の因果関係のいくつかを現実的な場面で例証することができた。また,質的分析については,カテゴリーの設置規準など,方法論的な課題が残った。
|