我が国では、キャリア成熟への発達支援を目標にした本格的な教育実践は行われていない。特に科学技術分野へのキャリア志向が急激に衰えている。本研究では高校の早い時期からキャリア発達を支援する環境を提供し、科学技術の蔓白さを体験させながら生徒の科学技術リテラシーを高めることを意図し、次の2点を実施した。 1.キャリア発達を支援するサポーター情報システムの構築 兵庫高校同窓会、クラブOB、在校生保護者等に働きかけて、在校生のキャリアガイダンスを引き受けてくれるサポーター(ボランティア)を募集した。応募者には「サポーター情報システム」という形でキャリアガイダンスに必要な個人情報を電子情報として入力することをあらかじめ了承してもらった。平成14年2月現在の応募者数は52名である。現在さらに保護者に登録を働きかけている。このシステムの概要については平成13年8月に開催された日本産業技術教育学会第44回全国大会に発表した。 2.オープンキャンパスの実施 1)高校進路指導部と連携し、平成12年11月21日に1年生320人を対象に神戸大学4学部(発達科学部、国際文化学部、理学部、工学部)で3時限、4時限目を使ってオープンキャンパス「キャンパストライやる」を実施した。講義は高校生向けの特別な講義を用意するのではなく、普段行われている授業をそのまま受講させ、特に科学技術分野のキャリア発達を促進させこの分野の学習意欲を引き出すことを意図した。 2)講義受講前後に授業体験が自己の進路形成にどのような影響を与えるかをアンケート調査により分析した。その結果を、平成13年に開催された日本教育心理学会に発表した。 3)さらに、2年生に進学した時期に、「サポーター情報システム」や「キャンパストライやる」体験が自分自身の進路決定にどのような影響を与えたかを追跡調査し、その結果を報告書としてまとめた。
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