研究概要 |
合唱訓練においては,各パートが正しい音程で歌えることが不可欠の要因であり,そのためのマルチメディアを利用した個人訓練法を検討した. 教師の模範歌唱と学習者の試演を,ビデオ映像及び音声,歌詞や楽譜といった文字情報と共に,リアルタイムでコンピュータの画面上に表示し,歌唱訓練の指導法を追及するためのプロトタイプを作成した. 一般に,正しく音程をとることは,音程が順次進行するときよりも,跳躍するときのほうが困難とされている.また歌う本人は,骨伝導をともなう音で声を聴いているため,客観的に自分自身の声を聴くことが非常に難しい.通常,学習者は個人指導の中で,口頭による説明を受け,MD等を利用した録音を聴くことでこれを補ってきた. このシステムの構築プロセスにおいて,音程が跳躍進行する部分を教材として用い,教師(池田)と学習者(学生)による歌唱訓練の実験を行なった.その中で特に,跳躍部分及び高音部における表情筋の筋肉運動について,教師と学習者の間に大きな違いがあることが,学習者自身により発見された.その後,学習者自身のこの理解に基づいて指導を行なった結果,跳躍進行においても楽に正しい音程をとることができるようになった.このことにより,本研究で研究している方式が非常に有効であることの一証を得た.また,この過程において得た知見は信州大学附属教育実践総合センター紀要に発表した.
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