知的障害児にとって、計算に伴う位取りの理解は非常に難しい。位取りの基本は「ゼロ」の理解である。本研究で考案したコンピュータソフトは、「ゼロ」の意味を容易に理解させることをねらっており、そのために算盤の原理を適用した。算盤は一の位には9までの数しか入らず、9に1が加わって10になった時には、一の位は「何もない」状態になるからである。 平成13年度までに作成した「いち〜じゅう」「じゅう〜ひゃく」のソフトは、知的障害児が興味をもって楽しみながら用いることが確認されたので、本年度は、「ひゃく〜せん」のソフトの開発を試みた。教育内容のステップは、「いち〜じゅう」及び「じゅう〜ひゃく」に準ずるものであった。 (1)変身させた「ひゃく」のりんご(緑色りんご)5個を、「ごひゃく」としてまとめる(透明な袋に入れる)。 (2)「ごひゃく」のりんごは「ごひゃくの部屋」、「ひゃく」のりんごは「ひゃくの部屋」にしか入らない。 (3)「ごひゃく」の部屋に袋が入ると「500」の数字が出る。 (4)「ごひゃく」と「ひゃく」の部屋にりんごが入ると、りんごの数に応じて数字が出る。 (5)縦につながった両方の部屋には、あわせて900までしか入らない。 (6)「ひゃく」のりんごがあと1個増えたときには、「せん」になる。 (7)「せん」の部屋にりんごを入れるためには、変身させる必要がある。 (8)「ひゃく」のりんご10個を変身させて、「せん」のりんご(茶色りんご)1個にする。 (9)「せん」のりんごは「せんの部屋」にしか入らない。
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