研究概要 |
今回研究費を申請した調査では,大学1年生約300名を調査対象とし,「ポートフォリオ作成を組み込んだ読み書き統合プログラム」の教授効果を調査した。調査においては,極めて高い信頼性・妥当性を持つ精度の高い標準テストを購入し,プログラムの効果を調査するための事前・事後テストとして使用した。標準テスト使用に関連する費用は,今回申請した研究費で充当した。調査期間は,2000年4月から2001年3月まで,研究課題は以下の通り。 (1)ポートフォリオ作成により,学習者の総合英語能力に向上が見られるか。 (2)精度の高い標準テスト使用により,向上の程度は査定できるのか。 (3)ポートフォリオ作成に適しているのは,どの程度の言語レベルの学習者か。 (4)内省タスクを組み込む場合とそうでない場合で,学習者の作成するポートフォリオの質に差異が見られるか。 (5)ポートフォリオ作成過程に男女差が見られるか。 (6)ポートフォリオに含む資料の数を制限すべきであるか。 (7)1学年の間に何度ポートフォリオを作成・提出するのが効果的であるか。 以上の研究課題について考察するために前述の事前・事後テストを実施するとともに,以下の項目について,量的及び質的手法により学習者の進歩状況を多角的に分析した。(1)ポートフォリオの完成度,(2)調査者の日誌,(3)ポートフォリオについての学習者へのアンケートの回答。 次に,本年度における研究の具体的進行状況については,上記研究課題に関して研究を進め,全国英語教育学会(8月)と日本教科教育学会(11月)いずれも全国学会において口頭発表をし,論文を投稿した(現在査読中)。また,外国語教育評価学会ではパネルディスカッション・パネリストとして研究発表・問題提起をした。論文は3点出版され,うち1点は国際学会の学術雑誌(CD-ROM)に掲載された。また,上記研究課題を含む学位論文を執筆・完成させた。前述の調査の調査結果については,来年度に学会発表,出版を予定している。
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