本年度は、これまでに得られたプログラム評価に関する先行研究からの知見をもとに、本学で実施された「金沢工業大学日本語教育特別プログラム(KIT-IJST)2001」を対象に、プログラム評価を実施した。評価においては、ステークホルダーである本学学長や経営者からの視点も考慮した上で、「プログラムの成果を明らかにして、今後どのような点を改善すべきかを検討するための情報を得る」ことを評価の目的として設定した。また、具体的な評価項目として、1.プログラム参加者に対する成果:A.留学生への成果B.本学学生への成果2.改善のためのポイントC.改善のために確認すべきポイントに関する評価課題(Evaluation Questions)を設定した。 実際の評価では、日本語診断テスト、アンケート、Focus Groupインタビュー、授業のビデオ録画など量的データおよび質的データを組み合わせた方法で、データを収集した。 その結果の一部として、留学生については、テストのスコアの伸び、留学生自身の判断、日本人学生らの印象から上達したと判断され、日本語能力を向上させる目的は達成された。また、その向上の程度についても、満足度が高いことがわかった。一方、本学学生への成果については、一部の学生については、外国人への抵抗感や英語能力への不安による心理的な壁がまだ残るが、今回のプログラムでの交流の機会を通して国際交流を行う自信を得ていることが明らかになった。また、このような交流の機会は有益であると判明した。得られた結果は、現在『平成13年度金沢工業大学日本語教育特別プログラム実施報告書』の一部にまとめた。 今回のプログラムについて行ったメタ評価では、判定標準(standard)設定の必要性や、評価の結果に対する信用性(credibility)の保証などについて、今後検討すべき課題が明らかになった。
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