研究概要 |
単純な機能をもつエージェントの協調動作によって目的とする機能を創出する方法としての自律エージェントシステムが議論されている.本研究の目的はクラスターの生成過程を自律エージェントシステムとして捉え,それによるクラスタリングアルゴリズムの開発およびその応用可能性を追求することである. 本年度は,クラスタリングアルゴリズムの中核をなす個体(エージェントと見なす)の動作規則(アクションルール)の収束性を証明することを目的とした.ここで,観測されるデータは個体間の類似度(行列)であり,各類似度の値は0と1の間の実数で与えられるものとする.このとき動作規則とは,現時点の個体間の類似度がつぎの時点にどのように変更されるのかを決める規則であり,その最も単純なものとして,まず逐次,対応する類似度行列の列ベクトルの成す角の余弦として更新される規則を導入した.この動作規則を繰り返すことにより,類似度行列が一定の同値関係をあらわす1と0から成る行列に収束することを証明した.その結果をSome Properties of a matrix with non-negative components and clustering technique」として日中統計会議で発表した.さらに本手法の応用可能性を追求するための基礎的な研究として,類似度関係から得られる個体間の連結情報を抽出し,それを上記の自律的クラスタリングアルゴリズムの組み込むことにより,より複雑なクラスターの形成についての研究の一部を日韓統計会議で発表した.
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