研究課題/領域番号 |
12878061
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
八杉 満利子 京都産業大学, 理学部, 教授 (90022277)
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研究分担者 |
小田 秀典 京都産業大学, 経済学部, 教授 (40224240)
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キーワード | 限定合理性 / パズル / 様相論理 / 証明論 / カット除去定理 / チープ・トーク・ゲーム / セラ・オートマタ / ジャンプ・アウト |
研究概要 |
人の知的活動において限定合理性のかかわる状況としていくつかのテーマをとりあげ、それらについて証明論とセラ・オートマタの応用による考察を行った。 第一に二人のプレーヤによる帽子の色あてパズルを様相論理KD4で形式化し、プレーヤがパズルを解く過程の分析を行った。第二のプレーヤが正解に到達するために十分な体系がKD4である。そこでは証明の正規化(カット除去)が可能である。第1のプレーヤの「手持ちの情報では色当てができない」、すなわち「白であることが分からない」、という主張を、プレーヤが体系を外から観察して「白であること」の証明不可能性を認識する、と解釈する。これが「体系からの脱出」と呼ぶものである。実際に「1の帽子が白である」が体系KD4で証明不可能であることは、正規化の応用として示すことができる。第2のプレーヤはこの主張を聞いて新しい知識として取りこむ。新知識が手持ちの知識と矛盾しないことも同様に体系からの脱出により認識することができる。 体系からの脱出、という表現は超限的に見えるが、このような状況では証明可能性・不可能性は決定可能であり、したがってパズル解きの全体の枠組みが決定可能である、という重要な事実も示すことができた。そのためのプログラムを組むことは容易である。 第二にチープ・トーク・ゲームを定式化し、その計算機実験を行った。同じ学習アルゴリズムに基づくチープ・トークが、ゲームでの協力を容易にする場合と困難にする場合のあることを確認し、それと被験者実験の結果を比較している。ゲームについてのチープ・トークとゲームのなかでのチープ・トークの区別の難易と協力の難易が対応していると思われるので、今後その理論的解析を進める予定である。
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