研究概要 |
人間の顔は,心理状態を反映した情報を提示していると考えられる。例えば,人は他人の顔を観察することで「集中している」「ぼんやりしている」「リラックスしている」「いらいらしている」などの状態を容易に識別できる。このことから,もしコンピュータシステムが同様にユーザの心理状態を推定することができれば、ユーザを適切にサポートする,より知的なインタフェースが構築できると考えられる。本研究では、実時間画像処理手法を用いて顔を計測することにより、非接触型のインタフェースを実現する手法の確立をめざしている。 今年度は、昨年度開発したリアルタイムの顔情報計測システムを用いて、車のドライバーの計測を行い、人の顔情報から状態推定する手法の実現可能性について検討した。 昨年度開発した顔情報計測システムは、顔の特徴領域(目じり、口の端など)を実時間で追跡するものである。しかしながら、顔が横を向いた場合には、これらの特徴領域が見えなくなり、追跡ができなくなる。そこで、側面のテンプレート(耳)を用意し、追跡するテンプレートを切り替えることにより、頭の回転に関する測定範囲を±80度に広げることができた。次に、この計測システムを車に搭載し、ドライバーの運転時の顔情報の計測実験を行った。カーブを曲がる際の車の速度と頭の回転角の関連性、長時間運転により頭の位置が徐々に下がることなどが計測できた。これらのことから、ドライバーの状況と顔情報に関連性があり、開発した顔情報計測システムにより、その判別が可能であるという見通しを得ることができた。 以上のように、車の運転中の顔情報の計測を通して、顔情報と心理状態の関連性が確認できたとともに、実時間顔情報計測システムが状態推定に利用可能であることを確認することができた。そして、この手法を基に日接触インタフェースを構築可能であるという見通しを得た。
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