研究概要 |
本研究は、不確実な環境下での数理ファイナンス(とくにオプションの評価)の数理構造に関するファジイ理論による解析とその意思決定理論の応用研究を目的としている。初年度は、オプション評価のためのファジイ理論の基礎研究に重点を置いて行った。主な研究成果は次の通りである。 1.ファジイ性を持つ連続時間のファジイ・システムの構造研究を行った。 2.ファジイ性とランダム性を併せ持つファジイ確率システムの理論構築を行った。 3.不確実な環境のもとでのアメリカン・オプションを求める基礎研究を固めるため、ファジイ確率システムにおける最適停止問題の研究を行った。 4.ポートフォーリオのために、多目的最適化の観点から、ファジイ確率システムにおける多目的最適停止問題の研究と多次元ファジイ数の順序づけの研究を行った。 これらの研究成果は、国際学術雑誌Fuzzy Sets and SystemsやJournal of Math.Analy.Appl.、また、国際学会雑誌J.Oper.Res.Soc.Japanに掲載されている。また、本研究の成果は、京都大学数理解席研究所の研究集会や日本数学会において口頭発表を、国際学会FLINS 2000(Brugge,Belgium),STAT 2000(Poland),GAME 2000(Adelaide,Australia)において口頭発表を行った。 本年度は、不確実な環境での確率システムの基本構造解析とアメリカン・オプション評価への基礎研究において研究成果が得ることができた。次年度は、これらの成果をアメリカン・オプションやヨーロピアン・オプションの評価に応用する予定である。
|