研究概要 |
(1)メタン(CH_4)と水素(H_2)の混合ガスを導入して生成した高周波(RF)放電による非平衡反応性弱磁化(<0.1T)プラズマのプラズマパラメータ(電子温度,電子密度,空間電位)測定を行った.外部より印加する磁場の方向(水平もしくは垂直)を変えることにより,プラズマパラメータが大きく変化し,特にプラズマ密度は著しく変化することが判明した. (2)平行平板型またはマグネトロン型電極配位の場合に,電極上に形成された堆積物の電界放射型透過型電子顕微鏡(FE-TEM)による直接観察を行った結果,マグネトロン型電極配位の中心電極(RF電極)表面に堆積した膜中から束状ではなく個々に分散した形状の多層カーボンナノチューブ(直径約70nm、長さが10μm以上)が観察された.また,このナノチューブの成長状態は,電極の形状及び材質,CH_4及びH_2のガス比及び圧力に大きく依存する傾向がみられた. (3)レーザー脱離飛行時間型質量分析装置(LD-TOF MS)による堆積物の質量分析を行った.その結果,フラーレンC_<60>,C_<70>,C_<84>に相当する質量ピークが検出された.これらの検出強度は非常に大きく,高効率でフラーレンも形成可能であることが判明した.したがって,フラーレンとカーボンナノチューブの形成機構には相関があると思われるので,今後も詳細な実験並びに評価・分析を行う必要がある. (4)さらに,形成された堆積物には,シート状のグラファイトが数層も重なった多面体カプセルやカーボンナノチューブの形成途中であると思われるグラファイト片がロール状になった物質が多く観察された.このことから,非平衡反応性プラズマのパラメータを制御することにより,多様な形状のカーボンナノチューブまたはフラーレン類を高効率で形成させるための最適条件を見出すことが可能であるといえる.
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