1.本研究で開発した積層型エネルギーフィルターは、照射野形成法として現在使用されているブロードビーム法における過照射領域の問題を原理的に解消し、スポットスキャン等の高度な照射野形成法に比べシンプルな操作で理想的な照射野を実現できる。この特徴は、本研究において、実験および計算で確認された。 2.本方法では、ラテラル方向にビーム強度を変化させ制御する必要があるが、本研究において、同軸形状の散乱体を使用する方法と、強度変調を伴うビームスキャンの方法が実験的に試された。結果として、どちらの方法によっても、3次元コンフォーマル照射を実現できることが実証された。 3.ビームスキャンの方法では、照射対象の深度方向の線量の広がりについては拡大ブラッグピークの2次元制御により入射位置に固有な分布が作られ、深さ方向の制御つまりエネルギー変更を必要としない。このことにより、3次元のスキャンニングを行う方法と比較して、全体の一様照射を非常に短時間に実理でき、呼吸移動臓器に対する同期照射において、理想的な線量分布を可能とする。
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