研究課題/領域番号 |
12878087
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中尾 正義 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (90142695)
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研究分担者 |
幸島 司郎 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (60183802)
藤田 耕史 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (80303593)
大田 啓一 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (80022250)
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キーワード | 氷河コア / アミノ酸 / ラセミ化反応 / D / L比 / 年代 / 汚れ層 / トリチウム |
研究概要 |
過去の地球気候や環境の変動を調べる手段として有効な雪氷コア解析の新たな年代決定手法の開発のために、従来の雪氷コアに対して用いられていた分析・解析項目に加えて、コア中のアミノ酸の分析・解析を実施した。用いたコア試料は、1998年にネパール・ヒマラヤのリッカサンバ氷河で採取した氷河表面から深さ15mまでのものである。 その結果、同コアにはメチオニン、アスパラギン酸、アラニン、フエニルアラニン、グルタミン酸の5種類のアミノ酸が検出された。アミノ酸が主として検出されたのは、フィルターで濾した濾液ではなくフィルターに残った粒子であり、アミノ酸が溶存態アミノ酸というよりは粒子状アミノ酸として氷コア中に存在していると考えられる。 またそのD/L比は、メチオニン、アスパラギン酸、アラニン、フエニルアラニン、グルタミン酸の順番で小さくなっており、ラセミ化反応速度(時定数)の大きい方から小さい方へという順番になっていることが判明した。 各アミノ酸の濃度の深さ分布には、種類によらずお互いに類似した特徴が見られ、濃度が極大値を示した深さはコア中の汚れ層の位置と一致していた。このことは、コア中のアミノ酸は溶存態ではなく、粒子状物質の中に存在するという上述の結果とも一致する。 同コアのトリチウム濃度の鉛直分布を調べたところ、世界各地の氷河コアで見られる1963年を示す高濃度層が現れず、このコアは、少なくとも最近35年よりも若い時代に形成されたと推定される。しかし、測定した各アミノ酸のD/L比の値は、氷河表面で全てのアミノ酸のD/L比が0(ゼロ)であったと考える値よりも大きな値を示していた。したがって、アミノ酸のD/L比、は氷河表面に堆積した時点で既にある程度の値を取っていることが示唆された。
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