研究概要 |
土壌のCO_2濃度と,土壌表面からのCO_2放出速度を長期・連続測定(モニタリング)する手法を開発し,森林において実証試験を行った(現在も継続中)。開発した手法は,小型の赤外線CO_2分析計を土壌の4深度に埋め込み,土壌CO_2濃度を連続測定し,得られたCO_2の濃度勾配と土壌のCO_2拡散係数を用いて土壌中のCO_2の輸送速度(フラックス)と土壌表面からのCO_2放出速度を連続的に定量評価するものである。現地実験は,北海道大学農学部附属苫小牧演習林の落葉広葉樹林において,2000年5月より連続して行っており,現在も積雪条件下で継続中である。土壌のCO_2濃度を,このように長期にわたって連続測定した例は過去にない。 現地実験を通して得られた本年度の主要な結果は,1)土壌のCO_2濃度は,基本的には地温の変化にともなって日変化および季節変化するが,降雨にともなう土壌水分の変化にも影響を受ける,2)土壌表面からCO_2放出速度は,地温の上昇にともなって指数関数的に増大し,7〜9月に最大となった,3)2000年6〜11月の無積雪期の6ヶ月間に火山性森林土壌から拡散によって大気へ放出されたCO_2量は64mol m^<-2>と推定された,に要約される。 来年度は,本年度の実験をさらに継続するとともに,地表面における大気圧の変動を微差圧計により測定し,地表面からマスフローによって放出されるCO_2の評価を行う。さらに,隣接した落葉針葉樹(カラマツ)林において同様の実験を行ってデータの蓄積を目指すとともに,森林の違いが土壌からのCO_2放出速度に与える影響についても考察する予定である。
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