研究概要 |
放射線誘発のマウス急性骨髄性白血病(AML)と、染色体2番中間部の欠失との関係を明らかにする目的で、以下の3つの実験を進展させた。 I.ミュータントマウスの染色体欠失マッピング 染色体2番中間部の欠失ミュータントマウス3系統について個々の欠失領域を特定した。D2Mit15(49.3 cM)の隣接部位(44.0 cM〜63.5cM)のSTSマーカーを50種類選択し、欠失マッピングを行った。1系統マウスはSfpi1を含む領域を欠失し、2系統の小眼球症マウスは、Wt1,Pax6部分を共通に欠失していた。 II.ミュータントマウスの白血病誘発試験 II-1.Del(2)Sey3Hの放射線に対する感受性を検討した。Del(2)Sey3Hミュータントは、小腸腺がんを自然発症した。γ線(3.0Gy)を全身照射してAMLを誘発したところ、潜伏期が短縮したが,AML誘発率は、正常マウスと有為差がなかった。小腸腺がんは、悪制度を増した。化学発がん物賃に対する感受性については、現在観察中である。 II-2.Del(2)Sey4Hの化学発がん物質および放射線に対する感受性を検討した。Del(2)Sey3Hミュータントは、小腸腺がんを自然発症した。メチルニトロソウレア(50mg/kg)を暴露して胸線リンパ腫発症を誘発したところ、胸線リンパ腫誘発率は、正常マウスと有為差がなかった。小腸腺がんは、両発がん物質暴露により、それぞれ悪制度を増した。 III.がん抑制遺伝子同定 染色体2番中間部の欠失ミュータントマウスは、小腸腺がんを自然発症する家系であることが分かった。マウス染色体2番のシークエンスデータと、ミュータントマウスの染色体欠失マッピングから、この表現型をもたらす遺伝子は、総数50以下にしぼられ、そのうち半数が未知遺伝子である。
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