プラスチックのライフサイクルについて時間的に変化するシナリオを複数取り上げ、このシナリオを数理モデルとして表現する手法を検討した。ポリ塩化ビニル製パイプの回収率は、現在の生産量に対し数%程度であるが、現在生産されているパイプが回収されるのは数10年後であり、そのときには回収システムもリサイクル技術も変化していると考えられ、現在のシステム、技術に注目している静的なLCAでは正しい評価にはならない。具体的な例としては、ポリ塩化ビニル製パイプを徐々にポリエチレン製パイプに置き換え、今後新たなリサイクル処理設備が増設され、埋め立てに制約が出てくるというシナリオを検討した。ポリエチレン製への置き換えによって、今後の環境影響は時間的に変化し、今後100年間の変化をみると、将来大量に発生するポリ塩化ビニル製パイプのマテリアルリサイクルの行き先がなくなり、焼却せざるおえなくなること、そのため、ある時期に集中して二酸化炭素排出が起きる可能性があること、素材の置き換える早さが環境に対する負荷に影響すること、環境ポリ塩化ビニルの油化リサイクルにはポリエチレンが同時に必要になるので、二つの素材が同時に存在することが有利になるシナリオも存在すること、などが明らかになった。 このようなケーススタディを通して、シナリオに含まれる時間依存の項目とその相互関係を詳細に検討しながら分類を行い、時間依存項目を数理モデルで表現する手法を考案した。ライフサイクル内のプロセスたけではなく、回収率変化を予測するモデルや、需要変化を推定するモデルについても検討を行った。
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