研究概要 |
1 プレコストムスの模様形成遺伝子の同定 皮膚の模様に関与する突然変異がいくつか知られている。それらのいくつかはc-kit familyに属しており、このタイプのシグナル伝達系が模様形成に働いている可能性がある。そこでfamilyのうち、まだ変異体や遺伝子が取られていないVEGF,PDGFの遺伝子をクローニングし、それを卵に導入、発現させる実験を行っている。現在までクローニングと鰭部分への遺伝子導入発現を行った。VEGFに関してはメラノサイトのアポトーシスを誘導し模様が消えることが観察されたが、パターン自体の変化は観察されていない。 2 プレコストムスの皮膚構造・構成細胞の同定 皮膚パターンを生じさせる「場」としての皮膚の微細構造について詳しく把握するため、皮膚切片の電子顕微鏡による解析を行い、皮膚の層状の構造、各層に存在する細胞の種類が同定された。また多層からなる皮膚のどこに位置情報場の存在する色素細胞が存在するのかを知るためメラノサイト移植を行い、位置情報場が皮膚の非常に限られた部分にのみ存在することを発見した。 3 皮膚に生じる模様と血管形成の関係 プレコストムスの皮膚に刺激を与え模様変化を起こさせると、一時的に皮膚が白くなった後、メラノサイトが集合してきて模様を形作るが、その反応の初期に皮下の血管の走行に平行してメラノサイトが分布することを発見した。
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