研究概要 |
魚類には、皮膚にストライプ模様を持つものが多い。ストライプの形成原理に関しては、その成長に伴う変化から、反応拡散モデルが適用できることが解っている。しかし、その分子、遺伝子レベルの解明は未だなされていない。ストライプ発生のメカニズムを考えるとき、その波が発生する場についての情報が必須であることはもちろんであるが、魚の皮膚に関しては、その皮膚構造と模様との関係は明らかになっていなかった。そのため、本年度は光学、電子顕微鏡を使い、皮膚の微細構造が模様とどのようなかかわりがあるかについて検討することを目的とした。研究対象としては、今年からはプレコストムスに加え、zebrafish, Genicanthus類のキンチャクダイを用いた。 顕微鏡による詳細な観察の結果、皮膚内の微細構造は普段外から見ている模様の部域差以上に複雑であることがわかった。特に、インターストライプの領域が3つに分かれていることが判明し、目に見えるメラノフォアの分布以上に複雑な構成になっていることが解った。さらに、皮膚内のそれぞれの層に存在する細胞群の同定を行った結果、多くの場合メラノサイトよりも、iridophoa(銀色の反射板を持つ細胞種)が構造の細かい部域差を見せていた。今後、模様形成に関与する細胞の候補として注目すべきである。また皮膚内に存在する鱗の基部が縞模様の方向性に関与することが明らかとなった。
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