研究概要 |
アスペルギルスのnud(nuclear distribution)ミュータントは細胞核の移動障害を特徴とする。nud遺伝子にはnudA、nudC、nudF、nudGの4つの遺伝子があり、それぞれ細胞核の移動に関与している。nudFがコードするNUDFタンパクの機能は不明であるが、細胞核移動障害を示すnudC3ミュータントにNUDFを過剰発現させると、核の移動能が回復する。一方、血小板活性化因子PAFを不活化するPAF acetylhydraseは、α1、α2,βの3量体からなる。PAFAH1B1タンパクはNUDFタンパクはとアミノ酸レベルで42%のホモロジーがある。本研究はPAFAH1Bタンパクをコードするpafah1b1遺伝子のcDNA配列をもとにジゴキシゲニン標識cRNAプローブを作成し、生後0日のマウス大脳皮質を用いてin situ hybridizationを行った。pafah1b1の発現は、中間帯および皮質板中の移動ニューロンに認められた。さらに詳細な発現は、PAFAH1Bタンパクに対する抗体を用いて調べる必要があり、今後、ポリクローナル抗体の作成を行う必要がある。これらの研究とは別に、α1とα2をコードするpafah1a1遺伝子とpafah1a2遺伝子のノックアウトマウスの供給を受け、それらの大脳皮質の層構造をHRP(ワサビ過酸化酵素)の逆行性軸索輸送法により検討した。脊髄にHRPを注入し、皮質脊髄路ニューロンを標識すると、pafah1a1、pafaha2ヌルマウスともに標識ニューロンは皮質第5層に分布し、異常を認めなかった。
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