哺乳類動物テロメア配列に特異的なPNA (Peptide Nucleic Acid)蛍光物質標識プローブを用いて、マウス脳組織切片上でFluorescence In Situ Hybridization (FISH)を行い、共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞レベルでの核内テロメア動態を観察した結果、生後24ヶ月齢までは核内テロメア配置に加齢性変化は認められなかった。すなわち、正常形態像を示す海馬神経細胞核内においてテロメアは散開していることが確認された。しかしながら脳老化モデル遺伝子改変マウスに発現する変性神経細胞においては、テロメアは核内においては散開しておらずに凝集傾向にあった。同時に、テロメアを示すシグナルは増加傾向にあった。このことから、変性神経細胞においては、(1)テロメア長が伸長している、すなわちテロメレースが働いている、もしくは、(2)使用したテロメア配列に特異的なPNAプローブに結合するテロメア結合因子が増加している可能性が考えられた。テロメレース活性は、細胞周期におけるS期に発現すると考えられていることから、現在、一部の脳老化モデル遺伝子改変マウスを用いてサイミジンのアナログであるBrdUの取り込み実験を開始している。
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