研究概要 |
脳梗塞層ではタウ(Alz50epitope)が神経細胞に(Stroke 26:2145-48:1995)、ApoEはグリア細胞に(Neurosci Lett 195:5-8:1995)発現することを先に報告したが、本年は別のタウepitope(tau2)がミクログリアに発現することを明らかにした(Neurosci Lett 286:99-102:2000)。タウは病態により様々な修飾を受け、その違いに従って異なる沈着様式をとることが知られているが(Acta Neuropathol 96:553-7:1998)、それを線維に親和性を有する蛍光色素を用いて多重染色することにより区別する手法を確立した(Acta Neuropathol 100:385:9:2000,Acta Neuropathol印刷中)。ApoEがタウの凝集や線維形成に関与しているとすると、これらの手法を組み合わせ様々な沈着様式のタウを観察することでin vivoでの役割を明確にすることができる。一般に多重染色については蛍光を用いた場合にそのシグナルの弱さが問題となるが、特に本年度は2重蛍光染色のそれぞれのシグナルを増感する方法を世界で初めて開発した(Histochem Cell Biol印刷中)。今後各種病的沈着物におけるApoE等他の分子の関与を観察する。ApoE産性細胞を同定するために、高感度のprobeとしてpeptide nucleic acid(PNA)を合成した。その特異性を膜状に固着した核酸で確認したが、その保存法に問題があることが判明し、濃度を調節した対照試験を行う必要にせまられている。実験動物などを用いてNorthern blotting等を行い、PNAの反応条件を調整した上で、ヒト脳に応用する予定である。
|