視神経から上丘浅層、そして視床枕を経て高次視覚野にいたる信号伝達経路を霊長類で解析するのが本研究課題の目的である。 本年度はその第一段階として、視神経から上丘浅層にいたる経路の上丘内でのシナプス結合様式を解析するための準備段階としてラットを用いて視神経を刺激して上丘各層におけるフィールド電位を記録し、少しずつ記録の深さを買えて、current source density analysisを行った。その結果、通常の麻酔下では浅層に5-10msの潜時をもつ吸い込み(sink)が記録されるが、bicucullineを上丘表面に投与すると30分後には中間層に潜時間の長い(50-100ms)sinkが発生するようになり、GABA系からの脱抑制によって浅層から中間層にいたる信号伝達が賦活されたことが示唆された。 今後はこの系を霊長類に持ち込み、2年度中には視神経から上丘浅層、視床枕を経て大脳皮質にいたる膝状体外系の実体を解明したい。
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