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2002 年度 実績報告書

量子ドット構造による電子物性の制御と次世代エレクトロニクスへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 12CE2004
研究機関東京大学

研究代表者

榊 裕之  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)

研究分担者 藤田 博之  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90134642)
安藤 恒也  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90011725)
荒川 泰彦  東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
平本 俊郎  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20192718)
平川 一彦  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
キーワード量子ドット / ナノ構造 / 電子の波動性 / 零次元電子 / 単電子効果 / 量子ドットレーザ / 量子ドットメモリー / 量子ドット検出器
研究概要

(1)量子ドット関連構造の形成と電子状態の解明と制御に関する研究成果
(1-1)InAs系量子ドット:InAs系のドットについて母体(マトリックス)結晶が電子状態に及ぼす効果を調べるため、カンチレバー型のGaAs薄膜や(InGa)Asキャップ層で埋め込んだドット構造では、電子状態に歪みが大きく影響することを示し、Si母体中に埋め込むと正孔・電子分離形のドットとなることを見出した。
(1-2)SiおよびCe系量子ドット:Siドットを量子細線に隣接させたメモリー素子構造やGeドットを光共振器内に埋込んだ発光素子構造を作り、電荷蓄積特性や発光特性を制御できる見通しを得た。
(1-3)GaN系および他の物質系のドット:GaN系およびAlGaSb系のドットにおいて、ピエゾ電界やヘテロポテンシャルの作用で電子と正孔が分離することを示し、InP係の歪み誘起ドットにおいて、ドット周辺のピエゾ電界の作用でキャリアの蓄積される現象に関し、新知見を得た。
(2)量子ドット関連構造の電子伝導特性と素子応用に関する成果
(2-1)Si系単電子メモリー:ドットの電荷を検出するMOS伝導路の幅を減らして、量子細線化し、メモリー特性、特にしきい値電圧の大きな変化を示す素子を実現した。
(2-2)量子ドットメモリー素子での電子電子相互作用:InAsドットに閉じ込められた電子と隣接チャネルの電子との相互作用を伝導計測で調べ、理論との対比でその特色を明らかにした。
(2-3)ドット埋め込みリング素子:リングの一部に量子ドットを埋め込んだ素子でFano共鳴に伴う伝導特性を発見し、ファノパラメータが複素数となることを示し、ドット内のスピン状態とリングのコヒーレンスとの相関も明らかにした。
(2-4)量子ドット・細線アレー構造の電子伝導:蜂の巣状アンチドット列構造での伝導現象を解析し、電子状態のトポロジカル異常などの存在を示した。また、結合量子細線列や金属的カーボンナノチューブの伝導も調べ、動的伝導度やフォノンによる電子散乱に関する新知見を得た。
(3)量子ドットと関連構造の光物性と素子探索に関する成果
(3-1)量子ドット構造でのバンド間光応答と電界制御:InAsドットについては、フォトニック結晶中に埋め込むと蛍光スペクトルが大きく変化することを示すとともに、Si結晶中に埋め込んだ時の蛍光特性を調べ、電子と正孔とが分離されるタイプII型のドットとなることを明らかにした。また、GaN系ドットにおける自然放出光がピエゾ電界の作用で著しく長波長化することや、励起キャリアのスクリーニングで短波長化することなどを見出した。また、バイアス印加した超格子構造に超短光パルスを照射した時のテラヘルツ放射特性を調べ、ブロッホ振動に伴う利得の周波数依存性を明らかにした。また、Ge量子ドットを多層ブラッグ共振器の内部に埋め込み発光強度の増すことを示した。
(3-2)量子ドットの中赤外・遠赤外応答と応用:InAs系ドットの束縛電子を中赤外光で解放させる原理の赤外検出器について、単一光検出器への応用を目指し、単一のドットに一対の電極を形成することにほぼ成功した。また、InP系の歪み誘起ドットにおいて、テラヘルツ光で蛍光強度が大きく変調される効果を調べ、その仕組みを明らかにした。
(3-3)量子ナノ構造でのフォトリフラクティブ効果:非対称性量子井戸を活かした素子構造を最適化し、動作帯が広く、かつ安定な素子の実現可能性を示した。
(4)ナノプローブおよびマイクロマシン構造によるナノ構造物性の局所評価と制御および新規物質の探索
(4-1)量子ドット埋め込みマイクロマシン構造の研究:可動のGaAsカンチレバー構造にInAs量子ドットを埋め込み、変形歪みに伴い蛍光スペクトルが大きく変わることを見出した。
(4-2)ナノプローブによる物性計測:マイクロマシン技術で形成した一対のプローブの間隔制御性を調べ、1nm級のギャップ状態でのトンネル電流や電子放出特性を調べた。また、InAS量子細線について光応答を調べるとともに、InASドットの表面電位が他の領域と比較して100mV程度低くなることを示した。
(4-3)各種新規ナノ物質の探索:LaMn系酸化物のMnをNiやCuで置換した物質での巨大磁気抵抗を調べ、nmサイズの磁気的ドット間のフラストレーションが大きな寄与をすることを示した。また、1〜10nm級のFe超薄膜やCr_2O_3超薄膜を形成し、その内部のフォノンの状態密度などに関し、新知見を得た。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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