研究課題/領域番号 |
12CE2007
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研究種目 |
COE形成基礎研究費
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 壽人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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研究分担者 |
杉野 明雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90231737)
田中 亀代次 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (80144450)
濱田 博司 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (00208589)
米田 悦啓 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80191667)
辻本 賀英 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70132735)
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キーワード | SOX / POU / レチノイン酸 / コケイン症候群 / DNA polymerase / ターゲティング / importin / XAB |
研究概要 |
近藤は、SOXファミリーの転写調節因子が、PAXファミリー、POUファミリー等の因子をパートナーとして複合体をつくって細胞分化を調節することを見い出し、POUファミリー因子を研究する濱田と共同で研究を進めている。まず、SOX2とPAX6が、複合体をつくることが、水晶体分化を開始させることを示した。外胚葉から中枢神経系が分化するには、まずSOX2の発現が誘導され、次いで中枢神経系分化のためのSOX2のパートナー因子が発現される事が必要である。SOX2の発現を誘導するシグナル分子、SOX2のパートナー因子を解析している。 濱田は、神経細胞突起(Axon)の伸長を促す新しい因子を単離した。その活性を測定する系を確立し、形成途上の神経系で広汎に発現することが判った。組換え蛋白質をつくる試みを開始し、またこの因子を欠損するミュータントマウスの作製を始めた。レチノイン酸分解酵素(CYP26)の欠損マウスを解析し、この酵素が胚内の活性型レチノイン酸の分布を決めていることを明らかにした。Oct3/4の標的遺伝子の一つについて、ミュータントマウス作製の準備を終えた。 田中は、転写とDNA修復との相互作用について解析した。すなわち、転写および「転写と共役したDNA修復」に関与する新規蛋白質XAB2が大きな蛋白質複合体に含まれることを見つけ。そのコア複合体をFLAG-tag法を用いて精製し、6つの因子からなることを明らかにした。近藤と共同し、XAB2遺伝子をノックアウトしたマウスは着床前に胎児致死となることを示し、XAB2遺伝子は胎児発生に必須の因子であることを明らかにした。同じく、「転写と共役したDNA修復」に関与するコケイン症候群遺伝子産物であるCSA蛋白質が、紫外線照射を受けた細胞では核マトリクスへと移行することを明らかにした。さらに、ミスマッチ修復遺伝子MSH2は紫外線損傷による細胞周期チェックポイントや細胞死に関与し、その異常が紫外線皮膚発癌に関与することを明らかにした。 杉野は、これまで用いてきた出芽酵母細胞に加え、アフリカツメガエル卵を用いたIn vitro複製系を導入し、DNA polymerase εがDNA polymerase αやδとともに染色体DNA複製に必須であることを明らかにした。更に新たに出芽酵母染色体複製に必須な蛋白Sld3、Sld5、Mcm10を同定した。又、アフリカツメガエル卵のMcm10蛋白ホモログを同定し、複製開始に必要であることを明らかにした。 辻本は、Bd-2ファミリー蛋白pro-apoptotic Bax/Bakあるいはanti-apoptotic Bd-xLとVDACの相互作用(各々チャネルの開閉)を電気生理学的手法により証明した。またチャネル活性を抑制しうる抗VDAC抗体を作成し、アポトーシスにおけるVDACの関与を証明した。またクロマチン凝縮因子Adnusの機能解析の一環として生体工学的解析を目指し、ES細胞でのターゲティングに成功した。 米田は、核蛋白質の核内移行機構に着目し、その輸送に必要な因子として、Importin α,βを同定、性状解析するとともに、低分子量G蛋白質Ranの重要性について、モノクローナル抗体を作成するなどして明らかにしてきた。さらに、Importin βやβ-cateninが、単独で、Ranに依存することなく細胞質から核へ移行できることを明らかにし、Ran非依存性輸送経路の存在を提唱した。転写因子SREBP-2やSTAT1を指標にして、核蛋白質輸送経路には多様性があることを証明するとともに、Importin α分子種の機能的多様性を明らかにした。
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