研究課題/領域番号 |
12F02011
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授
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研究分担者 |
COCK Andrew 東京大学, 東洋文化研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | カンボジア |
研究概要 |
この研究では、現代のグローバル経済における資源利用について、経済学的観点から考察を試みたいと考えている。具体的には、資源圧力に関して、特定の国を例にとり考察を行うボトムアップ的観点、それと共に、グローバルなトップダウン的観点からの考察、分析を行っている。特に注目したいのは、東南アジア大陸部(特にカンボジアとミャンマー)における農村の変化と資源利用の政略、そして、1970年代後半の国際システムにおけるグローバル商品をめぐる総合商社の展開と関連した資源管理のマクロなレベルでの変化である。本研究ではこれまでのところの実績として、東南アジアの資本主義の性質に関する論文ドラフト、カンボジアの伝統的な森林管理に関する論文ドラフトを完成させ、目下、投稿準備中である。また、佐藤准教授の編著によるGovernance of Natural Resourcesについては2013年夏の出版予定になっていて、私もカンボジアにおけるビジネスセクターと森林依存住民との関係に関する寄稿を行った。現在、自分の仕事を総合的にまとめた単著の原稿を作成中であり、こちらも出版を予定している北欧アジア研究所と交渉しているところである。 特別研究員に採用されてから新たに手掛けた研究としては、東南アジアにおける総合商社の勃興過程に関して年表を作成し始めたことがあげられる。また、これまでのようにカンボジアだけでなく、比較対象地としてミャンマーを選択し、文献調査をはじめたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自身の2年間のフェローシップ期間においては、東南アジアにおける政治経済の変化の学術的考察、またグローバル経済における天然資源に関する新マルサス主義的な観点の再生の可能性をも視野に入れた研究が、成果として挙げられる。具体的には、以下の3つの観点から、研究活動の成果を測りたい:(1)経済学の理論的知見、特にマルサス、ヴェブレン、リカードらによる研究に関する理解、考察をどの程度、深められたか(2)経済学における上記のような代表的研究から得られる知識をどのようにして、東南アジア大陸部やグローバル経済における天然資源に関しての再考、また新たな問いへと展開してこられたか(3)出版や発表のために作成した資料の種類と質。
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今後の研究の推進方策 |
今後12ヵ月間において、1970年代後半のグローバルな商品貿易を行う商社の展開とその重要性を説明するためにもグローバル商品産業(特に石油》の様相を分析したいと考えている。そのためにも、年代順に詳細な実証研究を行ってきており、本フェローシップ期間中に、カンボジアにおける資本主義に関する文献としての出版準備を行うことも視野に入れている。また、ミャンマーにおける石油経済に関する論文の執筆や著書「Governing Cambodia's Forests」の出版契約も目指している。その他、自身の学術的プロフィールを高め、自身の研究における主要テーマに関して、フィードバックを広く得るためにも、学会、および、日本、ヨーロッパ、オーストラリアにおける大学においても発表を行っていきたいと考えている。
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