研究課題/領域番号 |
12F02041
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
廣田 俊 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授
|
研究分担者 |
DESHPANDE MeghaSubhash 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
|
キーワード | シトクロムc / 多量体 / ドメインスワッピング / タンパク質構造 |
研究概要 |
タンパク質は構造変性して生体組織内に蓄積すると、コンフォメーション病が引き起こされる。電子伝達ヘムタンパク質であるシトクロムcは、変性すると多量化し、ポリマー化することが半世紀前から知られていたが、その形成メカニズムは不明であった。受入研究者らは、変性過程で生じる種々の大きさのウマシトクロムc多量体を作製、単離することに成功した。シトクロムc2量体と3量体のX線結晶構造解析にも成功し、シトクロムcがC末端領域のαヘリックスを交換するドメインスワッピングにより多量体を連続的に形成し、ポリマー化する機構を明らかにした。しかし、シトクロムc多量体の生成機構や機能には、未解明な点が多く残されている。そこで本研究では、野生型および変異型ヒトシトクロムcの多量体を作製し、種々の分光法を用いてその形成機構を解明するとともに、機能を調べる。 平成24年度は、大腸菌発現系を用いて野生型および変異型ヒトシトクロムcを得た。ヒトシトクロムcを陽イオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した。エタノール処理により野生型ヒトシトクロムc多量体を作製後、2量体を精製した。紫外可視吸収スペクトルおよびCDスペクトルより、野生型ヒトシトクロムc2量体では、ヘム鉄へのMet80の配位が外れ、タンパク質の2次構造が単量体の構造に比べて僅かに変化することが分かり、ヒトシトクロムc2量体はウマシトクロム02量体と同様の構造を有することが示唆された。さらに、野生型ヒトシトクロムcよりも多くの2量体が得られる変異体の作製にも成功した。これらの結果より、シトクロムc多量体の形成条件に関する新たな知見が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年7月より新たに研究を開始したため、外部発表の機会はまだないが、データは蓄積されつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度秋には学会発表する予定であり、研究はおおむね順調に進展している。 これまでに得られたデータをもとに他の測定法も試し、研究をまとめ上げる。特に、X線小角散乱法を用いて多量体の形成を確認する予定である。
|