研究課題
本研究の主たる目的は次世代スーパーコンピュータにおいて高性能・高電力効率と生産性を両立させる並列プログラミング手法の開発である。本年度はタスクパラレルモデルとデータフローモデルのランタイム評価と資源管理に焦点を置き、研究計画を推進した。前年度に行ったexaFMMを対象とした解析において、スケジューラーによるアプリケーションの性能差は、スケジューリング法の差によるプロセッサアイドル時間では説明がつかず、資源管理によるものと考えられたことによる。インターコネクトの制約が増大する将来のシステムでは、この点は性能・電力両面からより重要性が増すと考えられる。この目的のため、タスクパラレルモデルとデータフローモデルにおけるreuse distance methodの解析手法の開発を行った。Reuse distanceは、ある特定のデータ要素への2回のアクセスの間にアクセスされたデータの量を示す指標である。この手法は資源管理において最も重要となるメモリアクセスの時間的局所性を解析するための強力な手法であり、プロセッサキャッシュの利用効率と高い相関がある。しかし、元来シングルコアプロセッサ向けに開発されたものであり、本研究に用いるための実装手法は明らかではなかった。そこで、克服すべき課題(トレースの生成、トレースのサイズ、計算の複雑さ)を抽出し、実現手法を提案した。まず、このような手法が調査対象となる計算カーネルのデータサイズより十分大きい距離に関しては正確なreuse distanceを計算できる一方でトレースのサイズを大幅に削減することができる手法を示した。この手法の有効性を示すため、トレースの生成がほぼオーバーヘッド無しで測定できることを示すプロトタイプを構築した。加えてこの手法は、先行研究よりも大規模・長時間にわたる実行へもスケール可能である。これらの結果を、二報の論文として発表した。
(抄録なし)
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
Workshop on Performance Modeling, Benchmarking and Simulation of High Performance Computer Systems (PMBS13)
巻: (印刷中)
International Conference on Supercomputing (ICS'14)
3^<rd>International Congress on Big Data (BigData2014)
Supercomputing 28^<th> International Supercomputing Conference, ISC 2013, Leipzig, Germany, June16-20, 2013. Proceedings
ページ: 255-266
10.1007/978-3-642-38750-0_19