研究概要 |
本研究課題では、効率的な分散暗号方式と安全なデータ保存アウトソーシングへの応用をテーマとした研究を行う。分散秘匿計算は,秘密鍵を有する複数の参加者が,加算や乗算などの暗号基本演算を互いの秘密鍵を秘匿した状態で分散計算する方式である。分散ネットワークで、秘密鍵の秘匿状態を保ったまま分散計算可能であり、クラウドコンピューティングなど高いプライバシが要求されるアプリケーションへの応用が可能な方式である。本年度は、On-line Analytic Procbssing(OLAP)を利用して質問者に対する回答を回答者のプライバシを保護した状態にて集計できる方式を考察した。特に、同じプライバシ問題に対してデータを水平方向および垂直方向の両方で分割可能とする形で拡張し、入力データ長に対して線形計算時間で計算可能な方式を提案した。また、秘匿分散計算の基本的なプロトコルとして内積計算(スカラー積)がある。偶数次元の場合に、計算処理の比較的大きな準同型暗号や第三者を利用しないEven-Dimension Scalar Product Protocol(EDSPP)を提案した。現在までに知られている6種類の関連方式に対して安全性と処理速度を比較したところ、提案EDSPPは最も高速かつfairnessを有する方式となった。また、EDSPPの分散秘匿計算の応用として、3点Pl,P2,Qの座標情報を秘匿にした状態で、線分QP1,QP2の長さの大小を比較判定する秘匿計算プロトコルを提案した。
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