研究概要 |
本研究では,これまで報告されてきた幼児の発達過程の一部を機械学習の手法を用いてシミュレートして学習ロボットの模倣学習機能を高度化することにより,利用者がロボットのプログラミングや操作方法についての専門的な知識をもっていなくても,所望のタスクを教示し,現場でロボットの行動を修正するだけでロボットの持つ多様なサービス機能を引き出すためのコミュニケーションプロトコルを自律形成できるようにするための基礎理論と技術を開発することを目的としている. 平成24年度は,高い可塑性をもつ模倣学習に必要な目標指向性,意味理解能力,段階的発達を実現するための基盤と考えられるアクションセグメンテーションのための頑健なアルゴリズムの実現,アクションセグメンテーションの人間の基本行動発見への適用,アクションと知覚ストリームを組み合わせた共通のセンサー・モーター表現の学習システムの開発に取り組み,次の成果を得た.(1)MKアルゴリズムを改良し,複数のモチーフを同時発見し,MKよりもはるかに高速なMK++アルゴリズムを開発した.(2)モチーフ発見アルゴリズムを濃度推定問題として定式化することにより,パフォーマンスを悪化させる原因となる短いバーストノイズに対して頑建なモチーフ発見アルゴリズムsdCmを開発した.(3)我々の開発したモチーフ発見アルゴリズムMK+を全身モーション検出に適用し,良好な成果を得た.(4)エージェントと環境内のオブジェクトの間の未セグメントインタラクションからセンサー・モーター表現を学習するシステムを開発した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究全体の基盤となるアルゴリズムを構成でき,評価の結果その有効性が確認できた.加えて,ヒューマノイドロボットNAOの両手操作のための閉形式逆運動学が開発することができた.これにより,デカルト空間での学習が可能になり,対応問題への取り組みが容易になった.異なる特性をもつモチーフ発見プログラムを複数開発しためで,多様な状況でチーフ発見を実行できるようになった.
|
今後の研究の推進方策 |
計画通り,本年度の成果を基盤として,目標指向性,意味理解力,段階的発達性をもつ高可塑性の模倣学習システムの実現に取り組む.さらに,閉形式逆運動学とセンサ・モーター系,モチーフ発見アルゴリズムを組み合わせて高次元操作問題に接近する.
|