研究課題/領域番号 |
12F02054
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
陳 明偉 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授
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研究分担者 |
QIU Huajun 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 外国人特別研究員
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キーワード | スーパーキャパシタ / 多孔質金属 / ナノポーラスニッケル |
研究概要 |
脱合金化プロセスとは、電解液中で合金中の特定の元素のみを溶出する方法、いわゆる脱成分腐食である。この脱合金化プロセスは古くから防食・腐食分野においてはよく知られている現象である。最近の研究によって、この自然腐食を用いることで、自己組織化するナノメートルオーダーの気孔・セル柱を有するナノポーラス金属を容易に作製できることが明らかとなっている。 これまでは、ナノポーラス金を主体に研究を行ってきた。しかしながら、将来の産業化を考慮した場合、貴金属より安価で汎用な金属に置き換えたほうがよい。本研究では、代替金属として、導電性のよいニッケルをベースにナノポーラス金属を作製し、貴金属を全く使わないユビキタスなナノポーラス金属を基板とすることで、経済効率的且つ技術移転が見込まれる汎用性を兼ね備えたスーパーキャパシタを創製した。 まず、Mn_<70>Ni_<30>固溶体合金を室温での冷間圧延で10micronの厚さの合金箔にできることを見出した。そこで、最適な腐食条件で脱合金化することで均一厚さのナノポーラスニッケル箔の作製を試みた。 (NH_4)_2SO_4電解液を用い、種々の電解液濃度、腐食時間、腐食温度を系統的に変えることで、ナノポーラスニッケルの微細構造を最適化した。その結果、クラックなどのない広面積のナノポーラスニッケルの作製がすることができ、ピンセットなどで容易にハンドリングができた。このことは、ナノポーラスニッケルを応用する上で非常なステップである。1M KOH溶液でキャパシタンス特性を評価した結果、面積あたりの比容量を計算すると1.5~1.7F/cm^2で他の報告値より高く、高いサイクル安定性を有していることが分かった。電子顕微鏡観察から微細組織は表面がNiOに酸化しており、これが活性物質として寄与できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノポーラスニッケルのスーパーキャパシタの作製が順調に進んでおり、実験的障害がこれまでない。スケジュール通りこのまま、順調に進展していくと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
ナノポーラスニッケルベースのスーパーキャパシタの性能改善を引き続き行う。
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