研究課題
本研究の目的は、以下の2点 (1)気候変動と人間活動からの影響を検証し、それらの影響を定量化して計算する、(2) 古代から将来にわたる極端事象発生に関わる時間・空間・環境などの要素と、大規模な水災害との関連性を解明する、であって、平成25年度にはそれぞれ以下の研究を実施した。(1) 日本の鴨川(京都市)、エジプトのナイル川を対象として、過去の洪水を再現し、さらに、将来の洪水を予測する数値計算モデルを構築した。このモデルは、過去に向かっては1000年以上さかのぼり、将来に向けては100年オーダーで予測が可能なものを目指している。古地図、古絵図面、古本等を収集し、それらを用いて、1000年前までの土地利用・土地被覆の再現を試みた。古気候再現モデルと、CDRMV3、SWATという水文モデル群を組み合わせて用い、過去1000年の日々の降雨、河川流量の再現計算を行った。(2) 再現期間が数十年から数百年というような規模の大雨、大洪水といった極端事象に対して、河川流域が受ける洪水災害を推定し、流域の脆弱性の解析を行った。上記(1)の再現・予測計算モデルにおいて、特に、大洪水や大渇水といった極端事象に着目し、その生起頻度、規模、期間を明らかにし、将来の水資源開発計画、水管理計画、土地利用計画などに役立てる方法論を考究した。過去の洪水痕跡、古文書の記録から、当時の豪雨・洪水現象を再現してモデルの精度を検証するとともに、再現された降雨や洪水を利用して、将来の大洪水の予測計算を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究の成果は、平成26年3月までに図書(分担)3部(うち1部英文)、国際雑誌において査読付き論文として6編が、また、国内学術雑誌に査読付き論文が1編出版された。研究は申請書に記載の通りの内容で、当初の計画以上に進展していると言える。
(抄録なし)
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)
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