研究課題
バングラデシュ再生の基盤をバングラデシュ森林保護区の少数民族居住地域に求め、これらの地域をフィールドに措定し、保護区のみに残された本来あるべき姿の原基形態としての少数民族と森林との関係を把握しこれをバングラデシュ再生のヒントとすべく研究を継続してきた。我々はこれまで、実態調査研究に基づいた成果を多くのインパクトファクターのある国際学術誌に公表してきた。本研究はこれまでの我々の研究の有力な構成部分であるが、未だに手が付けられていなかった野生生物を媒介とした森林と人間との関係の展開という視点からの実態調査に基づいた考究を行うべく計画し実施してきた。Dr. Shaheed氏は平成24年8月に来日し森林政策学研究室(小池)、動物生態学研究室(泉山)とともに本研究課題に実行してきた。10月から11月にかけてバングラデシュに出向き、国際共同研究を実施しているチッタゴン大学森林環境研究所Dr. Miah助教授(前信州大学森林政策学研究室JSPS外国人特別研究員)と連携してレマカレンガ野生生物保護区において個別実態調査を実施した。その後、バングラデシュにおいて、レマカレンガ森林保護区においてチッタゴン大学のDr. MiaLと連携して研究実施計画に沿った形で、森林保護区の先住民を対象として家計レベルの民族生態学的個別聞き取り調査を実施した。平成25年9月には福岡において開催された国際シンポジウムで発表、平成25年10月にはケニア、マサイマラ国立公園における野生動物の保護管理の実態調査を実施した。マサイマラ国立公園では、公園隣接地域で生活するマサイ族からの聞き取り調査を実施し、地域住民と公園管理の問題点について貴重なデータを得ることができた。現在は、これまでに現地調査で収集した資料を分析し、成果を国際民族生態学会で報告、本領域においては高いインパクトファクターを持つ国際学術誌に公表すべく作業を着実に進めている。
2: おおむね順調に進展している
外国人特別研究員Dr. M. S. H. Chowdhuryは平成24年8月に来日後、本研究課題に着手し、平成25年度はバングラデシュ及びケニア・マサイマラ国立公園における野生生物保護協働政策に関する実態調査を実施した。また、国際学会に出席して議論を深めた。現在はそれらの実態調査で得られた資料を分析し、しかるべき欧米の学術誌で公表を進めている。
研究代表者小池正雄が平成25年3月をもって信州大学を定年退職し、研究代表者を泉山茂之信州大学教授に変更した。研究代表者の移動は主指導教員の研究・教育実績及び特別研究員との共同研究の実施面からは問題なく、当初の予定通りに本研究課題を遂行している。現在、本研究の仕上げとして、Chowdhury, M. S. H., Koike, M. and Izumiyama, S.による、「Forest conservation in the protected areas of Bangladesh : Policy and community development perspectives」として、Springer Publishing for book publication in the 'World Forests Series'の出版に向けた執筆が佳境に入っている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Environment Development and Sustainability, Springerlink
ページ: s10668-014-95 24-y.
10.1007
PARKS- an IUCN Journal
巻: 20(1) ページ: 87-100