研究課題/領域番号 |
12F02103
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授
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研究分担者 |
FERREIRA P.E. 長崎大学, 熱帯医学研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | 原虫 / マラリア / 赤血球 / カルシウムシグナル |
研究概要 |
本研究では、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した蛍光カルシウムセンサーYC-nanoを用いて、種々の細胞内オルガネラにおけるカルシウム濃度をモニターできる一群の遺伝子組換え熱帯熱マラリア原虫を作出し、マラリア原虫細胞中のカルシウムシグナル伝達経路におけるオルガネラの役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、まず、YC-nanoのみ、および粗面小胞体局在シグナルと融合させたYC-nanoをコードする熱帯熱マラリア原虫用のプラスミドを構築し、遺伝子組換え原虫を作出する事に成功した。 フローサイトメーターにて、ばらつきがあるものの大方の原虫が蛍光を発していることを確認した。間接蛍光抗体法による局在解析では、予定していたオルガネラにYC60が局在していることが確認できた。これらの原虫を用いて、カルシウム濃度変化を検出するため、顕微鏡の条件検討を行った結果、原虫細胞が4um程度と小さくシグナルが弱いため、水銀ランプ光源では短期間で原虫細胞にダメージを与えることが分かった。種々の条件設定を行った結果、再現性のあるデータを得るためには、細胞外に放出された動きが大きいステージの原虫の解析にはLED光源と高感度のEM-CCDカメラを用いた蛍光顕微鏡観察が適切であり、また、細胞内ステージの原虫には共焦点レーザー顕微鏡を用いたスペクトルイメージング解析が適切であるとの結論に至った。細胞内カルシウムの濃度に影響を与えることが知られているカルシウムイオノフォアやタブシガルギン、シクロピアゾン酸等を細胞質にYC-nanoを発現している原虫に投与したところ、カルシウムイオノフォアとシクロピアゾン酸では細胞質内カルシウム濃度が急激に上昇すること、タブシガルギンではその応答が弱いことを観察する事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実験がほぼ順調にすすんだため。
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今後の研究の推進方策 |
以下のように当初の予定通り推進する。 1.マラリア原虫においてカルシウム貯蔵を行っていることが予想される食胞などの種々オルガネラに局在する分子と融合させたYC-Nanoを適切に発現している組換え熱帯熱マラリア原虫を作製する。 2.刺激がない状態と種々の特異的カルシウムインデューサーで刺激した場合の、種々のオルガネラでのカルシウム濃度の変化を検討することで、各種オルガネラのカルシウム制御への関与を検討する。
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