本研究は、浮遊法による無容器プロセッシングを利用して、酸化物準安定相における準安定相創製メカニズムを明らかにするものである。本年度は、以下の研究を進めた。 1)カルシウムアルミネートの密度測定 加圧型静電浮遊炉を用いて、カルシウムアルミネート(CaO・Al_2O_3)の浮遊溶融及び密度測定を実施した。窒素4気圧、乾燥空気4気圧及び酸素4気圧と浮遊ガス条件を変更して浮遊の容易さと密度測定結果の比較を行った。浮遊は窒素雰囲気下が最も容易で、酸素雰囲気では浮遊が非常に困難であった。実験においては、クーロン力で浮遊させる前に試料を予備加熱しておく手法をとっているが、この予備加熱状態で試料が十分帯電するか否かが、その後の浮遊の可否を決定している。酸素雰囲気では試料を正に帯電させることが難しく、なかなか浮遊させることが出来なかったが、比較的高い温度まで予備加熱させることにより、数回浮遊に成功して密度が測定できた。密度は、加圧ガスの種類によって有意な差が現れた。窒素雰囲気での密度が最も高く、次いで乾燥空気、酸素の順となった。有意な差が現れた原因は現在検討中である。測定においては試料がガラス化するため、融点を用いた放射温度計の校正が難しく、温度測定の不確かさが大きくなった。今後の課題である。 2)その他の酸化物の浮遊溶融実験 カルシウムアルミネートの他、ストロンチウムアルミネート、エルビウムを加えたアルミネートの浮遊に成功した。アルミネート以外の酸化物については、表面に帯電させることが非常に難しく、静電浮遊炉での浮遊溶融に至らなかった。
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