研究課題/領域番号 |
12F02209
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
徐 強 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上級主任研究員
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研究分担者 |
AIJAZ Arshad 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 外国人特別研究員
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キーワード | 水素 / 水素貯蔵 / エネルギー |
研究概要 |
来る水素エネルギー社会を支えるキーテクノロジーとして、高効率水素貯蔵技術の確立が求められている。最近、多孔質金属配位高分子材料による水素貯蔵が盛んに研究されているが、フレームワークと水素との相互作用が弱く、十分な水素吸蔵量を得るには低い吸蔵温度(液体窒素温度付近)が必要である。そのために、水素との相互作用が強く、高密度水素を可逆的に吸蔵・放出できる水素貯蔵材料の開発が強く求められている。本研究では、新しい試みとしてホウ素-炭素-窒素(BCN)系多孔質高分子による高性能可逆的水素貯蔵技術の確立を目的としている。テンプレートとして多孔質の金属配位高分子材料を使用して、ホウ素、窒素及びホウ素・窒素系前駆体を導入し、処理条件を制御することにより、ホウ素、窒素及びホウ素・窒素ドープされた炭素材料を合成した。塩基性窒素(N)ドープされた炭素材料は、高いCO2吸着量及び高い吸着熱を有することがわかった。一方、ホウ素(B)ドープされたカーボンフレームワークは、比較的低いCO2吸収量を示す一方、より高い水素吸着能力を示した。X線構造解析を行い、多孔質フレームワークの構造に関する情報を明らかにした。吸着等温線測定を行い、比表面積及び細孔径分布を明らかにし、CO2,N2やH2と多孔質フレームワークとの相互作用についての情報を得た。金属でのスピルオーバーによって、水素の吸着が促進される可能性があるため、多孔性金属の合成を試み、水素吸着性能評価を行った。現在、ホウ素、窒素及びホウ素・窒素を組み込んだカーボンフレームワークに貴金属をドープし、水素吸着能の向上に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究計画に沿って、テンプレートとして多孔質の金属配位高分子材料を使用して、ホウ素、窒素及びホウ素・窒素ドープされた多孔質カーボンフレームワークを合成し、ホウ素ドープされたカーボンフレームワークは、より高い水素吸着能力を示すことが明らかになった。研究計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も、研究計画に沿って実験・研究を行い、ルイス酸/塩基をカーボンフレームワークに導入し、水素吸着能の更なる向上に取り組む予定である。研究計画を変更することなく、当初計画に沿った実験・研究を実施する予定である。
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