研究概要 |
来る水素エネルギー社会を支えるキーテクノロジーとして、高効率水素貯蔵技術の確立が求められている。水素との相互作用が強く、高密度水素を可逆的に吸蔵・放出できる水素貯蔵材料の開発が期待されている。本研究では、テンプレート・前駆体として多孔質金属配位高分子材料MIL-100 (Al)を使用して、窒素含有イオン液体1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド(EMIM DCN)及びホウ素・窒素含有イオン液体1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIM TCB)を第2の炭素源及び窒素源、ホウ素―窒素源として用いて、その複合体の熱処理条件の精密制御を行うことにより、窒素(N)及びホウ素・窒素(BN)をフレームワークに組み込んだ多孔質炭素(C)材料を合成した。このように合成したN及びBN含有多孔質炭素フレームワーク(NC及びBNC)は、大きな比表面積を有し、水素と強い相互作用を有することを見出した。EMIM DCN@MIL-100 (Al)複合体(重量比1:1)を800℃で熱処理して得られたNC800試料は、2397m2/gという高い比表面積を示し、H2吸着量は1.7wt%(77K, 1atm)に達することがわかった。EMIM TCB@MIL-100 (Al)複合体(重量比1:1)を800℃で熱処理して得られたBNC800-1試料は、比表面積は1068m2/g、H2吸着量は1.4wt%(77K, 1atm)を示したのに対し、EMIMT CB@MIL-100 (AI)複合体(重量比1:2)を800℃で熱処理して得られたBNC800-2試料は、、比表面積は1522m2/g、H2吸着量は1.7wt%(77K, 1atm)を示した。窒素・炭素フレームワークと比べ、ホウ素―窒素―炭素フレームワークは単位比表面積あたりの水素吸着量がより高いことが分かった。
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