研究課題/領域番号 |
12F02210
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 馨 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, グループ長
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研究分担者 |
YEH Chuan-Ming 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 外国人特別研究員
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キーワード | 転写因子 / 酸性土壌 / アルミニウム感受性 / 遺伝子発現 / シロイヌナズナ / キメラリプレッサー / ストレス耐性 |
研究概要 |
酸性土壌は、植物の生育に有害なアルミニウムの溶解を促進し、また、空気中のチッソを肥料分としてとり入れる土壌微生物の活性を著しく抑制するなど、農業に深刻な影響を与える。酸性土壌で溶出した土壌中のアルミニウムイオンは、植物の生育に必要なリンと結合し、難溶性の塩を形成するとによって、結果として施肥効率が低下を引き起こし、穀物などの生産量に大きな影響を与えることが知られている。世界では約30%の耕地が酸性土壌であり、これら酸性土壌条件下においても問題なく生育出来る植物の開発が求められている。特に酸性条件下で土壌に溶出するアルミニウムイオンは根の細胞の細胞壁に結合し、それによって活性酸素の発生を促し、脂質の過酸化やミトコンドリアの機能障害を引き起こすことによって、生育阻害を誘導すると考えられているが、その詳細な機構については明らかになっていない。 そこで本研究は、酸性土壌で生じるアルミニウムが、植物の生育にどの様に影響し、生育阻害を誘導するのかその分子機構について明らかにする為、シロイヌナズナ全転写因子を網羅するキメラリプレッサー発現種子ライブラリースクリーングし、アルミニウムイオンに対して感受性の異なるライン(耐性および過敏株)の単離を根の伸長から比較することによって行った。その結果、6種類の異なる転写因子に対するキメラリプレッサーを発現するシロイヌナズナが、50uMの酸化アルミニウム存在下でおいて野性型に比べ、顕著に高い感受性を示し、一方一種の転写因子は、耐性を示す事が明らかになった。そこでマイクロアレイを用いて、該当する転写因子に発現が影響される遺伝子の探索を行っている。また、アルミニウムとリン酸欠乏との関係についても詳細な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であるアルミニウム感受性のスクリーニングを予定通り終了し、次の段階である単離した遺伝子の解析に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究は,順調に進んでいるが、アルミニウム耐性は、リン酸欠乏ともリンクしており、得られた表現型が、アルミニウムによるものかリン酸に関与しているものか調べる必要があり、現在その両方から解析を進めている。
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