研究課題
「ヤムイモ遺伝資源の多様性に関する分子・細胞遺伝学的研究」を行った。また、主テーマのヤムイモ遺伝資源の多様性解析に関する研究に加え、「サトウキビとエリアンサスの属間雑種の農業形質および細胞遺伝学的特性解析」を行った。課題1 ヤムイモ遺伝資源の多様性に関する分子・細胞遺伝学的研究ホワイトギニアヤム(Dioscorea rotundata)遺伝資源447系統を研究対象とし、SSRマーカー、倍数性、形態変異に基づいて、母集団の多様性をできるだけ保持しつつ品種・系統数を絞り込んだ、多様性研究材料セット(Diversity Research Set : DRS)を選抜した。選抜した106系統からなるDRSは、DNA変異(SSR多型)、倍数性および形態形質変異について母集団と同程度の遺伝的多様性を保持する集団であることがgene diversity等の解析データより明確に示された。DRSを用いることで、農業形質変異の詳細な解析が可能になり主要農業形質の効率的な評価方法のプロトコール作成の材料としても有用である。また、DNAレベルにおける詳細な変異解析を行い形質との連関を調べることで、有用形質の原因遺伝子(DNA領域)の同定が容易になることが期待される。課題2 サトウキビとエリアンサスの属間雑種の農業形質および細胞遺伝学的特性解析干ばつや痩せ地等の不良環境への適応を目的に作出されたサトウキビとその近縁属植物エリアンサス(Erianthus arundenaceus)の属間雑種の細胞遺伝学的特性と農業形質を解析した。GISH法による雑種集団の染色体組成を解析した結果、サトウキビ由来の染色体は一定数であったのに対し、エリアンサス由来の染色体数は、系統により幅広い変異を示した。DNA量が安定している系統の農業形質と細胞遺伝学的特性の関連性を調査したところ、ほとんどの形質とエリアンサス由来の染色体数との間に正の相関がみられた。雑種におけるエリアンサス由来の染色体の数および組成はごく広い変異を示し、挙動も多様であることが示され、今後は、これらに注目し、農業特性との関係を検討する必要がある。
1: 当初の計画以上に進展している
447系統のヤム遺伝資源から、DNA変異、倍数性、形態形質変異の多様性を保持した少数の材料群を選抜することができ、将来的な分子育種を念頭に、形質とDNA変異との間の連関解析に向けた基盤を構築することができた。また、研究分担者の細胞遺伝学の専門性を生かし、サトウキビとエリアンサスの属間雑種における染色体の構成および形質との関連性に関しても成果を得ることができた。両課題とも論文化に向けた準備を進めている。
(抄録なし)
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