研究課題/領域番号 |
12F02219
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
堀田 晴美 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長
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研究分担者 |
PICHE Mathieu 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | 胃運動 / 胃血流 / 背部痛 / 高張食塩 / 胃交感神経 / 迷走神経 / 脊髄分節 / 脱血 |
研究概要 |
脊椎傍筋の侵害受容(痛み)入力が自律神経機能に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにする目的で、動物モデルを用いて背部への侵害刺激が胃機能にもたらす影響とその神経性メカニズムを調べた。侵害刺激として高張食塩水(HS)(20μL;6%)を、非侵害刺激として同量の等張食塩水(IS)(20μL0.9%)を脊椎傍筋に注入した。8匹の麻酔ラットにおいて胃内圧を記録し、コントロール(中枢神経・迷走神経無傷)、迷走神経切断後、C1脊髄切断後の3つの状態で、T2、T13、L6の脊椎傍筋へ刺激を加えた。胃内圧は、コントロールおよび迷走神経切断後にはHSによって影響を受けなかった。脊髄切断後にはT13あるいはL6筋へのHSによって胃内圧が減少した。L6およびT2と比較して、HSがT13筋への刺激効果は有意に大きかった。次に、8匹の迷走神経切断ラットで胃血流への効果を調べた。この実験では、刺激をT13筋に与えた。胃血流は中枢神経無傷時にはHSによって減少したが、脊髄切断後には変化がなくなった。HSによって全身動脈圧は、中枢神経無傷時には顕著に低下し、脊髄切断後にはわずかに増加した。胃血流に及ぼす動脈圧の影響を検討するため、急激な脱血(0.7mL)の影響を調べた。脱血は動脈圧と胃血流を減少させた(n=6)。4匹の迷走神経切断ラットにおいて、胃の交感神経活動を記録した。T13筋へのHS注入は中枢無傷時には胃の交感神経活動を変化させなかったが、脊髄切断後には顕著に増加させた。ISは、胃内圧、胃血流、胃の交感神経活動にほとんど影響を与えなかった。以上より、脊椎傍筋からの侵害受容入力は、脊髄分節性に胃交感神経を活性化させ、それによって胃運動を抑制すること、一方上脊髄性の低血圧反射によって二次的に胃の血流を減少させること、が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
効果的な共同研究により、当初の予定通り実験が進んだ。既に論文発表の目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
残り5か月で、例数を追加し、学会発表するとともに論文にまとめる。特に問題はない。
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