研究課題/領域番号 |
12F02304
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
クラーク スティーブン 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 客員教授
|
研究分担者 |
WILLIAMS Laurence 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 外国人特別研究員
|
キーワード | English literature / Japanese history / Edo period / travel writing / Enlightenment / Romanticism / East-West relations |
研究概要 |
本研究のテーマは「1660年から1780年にかけてのイギリス文学・文化に見られる日本の影響」である。 日本の1639年以来の「鎖国政策」がイギリスとの交流を完全に断絶するものではなかった、という提言がある。17世紀から18世紀にかけての鎖国時に西洋で流通していた「日本」のイメージは、西洋諸国(特にイギリス)にとって、自国の政治・経済の枠組みを意識的に比較検討するためのモデルであったことが明らかになる。17世紀から18世紀にかけてのイギリスにとって日本の鎖国は、当時のイギリスの重商主義・保護貿易政策を極限まで推進した場合の実例モデルであり、宗教や人種のマイノリティに対して強権的な姿勢で臨んだ場合の実例モデル、さらには中央集権的国家の代わりに封建制度と幕府体制によって国家をおさめた場合の実例モデルでもあった。 鎖国時代の日本は、イギリスにとってまさに自国の「ありえたかもしれない姿」を実験的に示す格好の手本であり、活発に議論し分析すべき対象であった。 本研究におけるこれまでの成果を、東京大学、香港大学、関西学院、そして日本イギリスロマン派学会2013年全国大会において発表した。また、イギリスの「British Journal for Eighteenth-Century Studies」(イギリス18世紀研究)、と東北ロマン主義研究(TARS)にこれらの成果が研究論文として掲載され出版される。さらに、本研究テーマに基づいた単著書も執筆中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題申請当初の研究計画に従い順調に研究が進展しているだけでなく、当該研究分野に深くかかわる主題の国際学会の開催にも携わっている。
|
今後の研究の推進方策 |
採用期間最終年度の残り6ヶ月間では、本研究の結果を纏めて二つの論文を書く。一つはNew Directions in Travel Writing Studies (Palgrave)、一つはEuropean Romantic Reviewに掲載され出版される。また、東京大学において開催される「Romantic Connections」(6月)に大会実行委員として参加し、筑波大学の「Crusoe in Asia」(9月)では研究発表を行うことを予定している。奈良大学への出張や、日本史と英文学に関連する書籍を購入する等を通して、資料収集も積極的に継続する。
|