研究課題/領域番号 |
12F02306
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
新川 登亀男 早稲田大学, 文学学術院, 教授
|
研究分担者 |
GE Jiyong 早稲田大学, 文学学術院, 外国人特別研究員
|
キーワード | 東アジア / 仏教伝来 / 唐 / 百済 / 新羅 / 戒律 / 禅 / 唐招提寺 |
研究概要 |
研究代表者新川登亀男と研究分担者葛継勇とは、鑑真に同行して渡日した法進撰の『沙弥十戒并威儀経疏』や思託撰の『延暦僧録』を検討し、研究課題の確認をおこなった。また、二人は、2012年3月、滋賀県(近江国)での共同調査を実施した、近江国の湖西は比叡山東麓にあたり、若き最澄の修行地域であるとともに、天台宗の成立に貢献した法進が講説したところでもあった。一方、湖東は、湖西とともに渡来人の集住地であり、新資料の出土がみられる。具体的には、崇幅寺・梵釈寺などの寺院跡や大津宮跡、近江国庁跡、近江国分寺跡、野州の西河原遺跡群の木簡などを、滋賀県埋蔵文化財センター、大津市歴史博物館、県立安上城考占博物館、野洲市歴史民俗博物館の協力によって調査することができた、 一方、新川は、鑑真の孫弟子にあたる唐招提寺豊安撰の『戒律伝来記』(唐招提寺蔵)を検討し、そのなかに引用されている「百済許智部所述年代記」をもとに日本への仏教伝来の知られざる実態を考察し、かつ発表した。また、百済益山の弥勒寺西塔で発見された舎利銘を解読し、日本の場合との比較をおこなった。 葛は、2012年12月、韓国の禅宗寺院(鳳林寺、宝林寺、聖住寺など)を巡見する機会に恵まれ、国立扶余博物館、国立中央博物館を見学した.この間、寺院碑や関連の木簡を調査し、朝鮮半島における禅宗の伝来・受容についての資料や情報を得た.さらに、白済仏教の日本伝来について、あらたな知見を得ることができた、また、葛は、「倭使"司弓曹〓"的姓氏与出自」を中国で発表し、「仏教私伝」に関係深い司馬達等一族の出自と朝鮮半島からの渡来について言及したまた、新発見の「祢軍墓誌」に記されている頃本」について、論文「国号『日本』とその周辺」を執筆して、国号「日本」の成立・起源を検討し、古代東アジア三国間の相互認識について私見を述べた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年11月中旬にスタートとした本研究課題は、現在まで関連資料・研究情報を収集しながら、これらの資料を対照・分析し、また記録した語句概念を明確にした上で、個別テーマにかかわる議論を組み立てながら、同時に論文執筆を行っている。「研究の目的」と「研究計画」にしたがって、順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
これから、日本の関西地区や中國・韓国の現地調査をおこない、関連資料の収集をすすめる。また、法進や思託らが残した資料の分析をおこなう。そして、日唐問における寺院建築、造像、仏教テキストの読解方法、および生活慣習の違いによる意識・認識の差異性が、唐文化の日本伝播における位置づけやその働きにいかに現れているかを明らかにしたい。また、その間に、朝鮮半島の文化がどのような位置と役劇を占めているのかについても留意したい。
|