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2012 年度 実績報告書

社会的知性仮説の検証:社会的知性と社会的統合の関連

研究課題

研究課題/領域番号 12F02308
研究機関東京大学

研究代表者

長谷川 寿一  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授

研究分担者 LEANNE Proops  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
キーワード社会的知性 / 動物行動 / 社会的認知 / 半野生馬(Equus caballus) / 個体差 / クロスモーダル / 繁殖成功 / 友情
研究概要

社会的知性仮説は、動物の脳や認知能力が、生態学的環境ではなく、複雑な社会的環境への適応の結果として進化したという仮説である。この仮説では、社会的により統合された個体が社会的により成功するとされ、ヒトでは、社会的に統合され友達の多い者が発達した社会的認知能力をもつことが実証されている。しかし、ヒト以外の動物では、社会的知性の個体差と社会的統合の程度との関連を個体レベルで調べた研究はない。本研究では、集団で暮らすウマを対象に、社会的知性の個体差と社会的成功・気質との相関を調べ、社会的知性仮説がヒト以外においても個体レベルで適用されることを実証する。ウマは、霊長類以外で唯一、社会的に統合された個体が生殖適応度を高めることが知られた動物であり、本研究対象種として最適である。来日して以降、宮崎県串間市都井岬の御崎馬を対象とした研究を実施するため、宮崎への移住を計画し、準備してきた。すでに研究場所である都井岬に出張し、串間市役所や御崎牧組合に赴いて研究計画を説明し、データを収集する許可を得ている。また都井岬の近くに家を借り、4月1日には引っ越すため、データを集中して収集する環境は整っている。なお、御崎馬の観察研究を既に実施している研究者とのミーティングも終え、共同研究を進めている。また、飼育下のウマを対象とした2つ目の研究を開始した。ヒトはある感覚刺激を他の感覚刺激と対応づける生得的なバイアスを持っている。例えば、高い音と明るい色のものが対応づけられる。最近、チンパンジーでも同様のバイアスが見られることが実証された。ただし、このバイアスがヒト以外の動物でどれほど幅広く見られるかは知られていない。そこで、ヒトやチンパンジーから系統発生的に離れたウマやイヌにおいてこうした対応づけが見られるのかを調べる。この検討は、脳におけるクロスモーダルな知覚処理の構造を知るのに非常に重要な知見を与える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メインの研究プロジェクトについては、来日まもないため、データ収集をまだ開始できていない。野外での研究を計画するには時間がかかるものであるが、半野生馬のデータを収集するのに必要な正式な許可は既に得ている。また、共同研究者と良い関係を築けている。なお、飼育下のウマを対象とした実験データの収集は、東京で開始しており、まもなくデータの収集を終える予定である。よって、本研究はおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

本研究課題の結果は、論文として出版したり、国際会議に出席し発表したり、メディアを通して発表したりすることで、今後の研究を推進しようと考えている。
本研究課題では、研究対象を飼育下のウマから半野生馬に変更した。しかし、この変更は本研究の結果を強めるものであると考える。すでに半野生馬の研究許可は得られているので、特に問題はない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Spatial cognition and perseveration by horses, domkeys and mules in a simple A-not-B detour task2013

    • 著者名/発表者名
      Osthaus B, Proops L, Hocking I, Burden F
    • 雑誌名

      Animal Cognition

      巻: 16 ページ: 301-305

    • DOI

      DOI10.1007/s10071-012-0589-4

    • 査読あり
  • [学会発表] Cross-modal Individual Recognition in Domestic Horses2012

    • 著者名/発表者名
      Leanne Proops
    • 学会等名
      International Institute for Advanced Studies Conference 2012
    • 発表場所
      国際高等研究所,京都
    • 年月日
      2012-12-04

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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