研究概要 |
本年度は, 前年に作成した特性データを利用し, 市区町村特性の混合状態を複数の空間的混合度指標によって評価した. 各指標はそれぞれその目的が異なることから, 混合状態の評価もそれぞれ異なる. そこで, 評価指標の結果を典型的な4つのパターン(一様混合, ランダム混合, 塊状混合, 分離)に分類し, 各分類に含まれるデータ群の相違を評価している. 評価に用いた非空間的指標には, R and index及びWallace indexに加え, Duncan & Duncanのindex of dissimilarity, ジニ係数, エントロピー指標などがある. また空間的指標としては, 新たに開発した3つの指標群と, Reardon & O'Sullivan (2004)のthe spatial information theory indexも比較している. 新たに開発した3つの指標群は, 空間的乖離の相異なる3つの側面をそれぞれ個別に数値化したものであり, 互いに独立性が高く, 且つ, 補完的であるという利点を有する. そのため既存の他の指標と較べて, その解釈が容易であり, 相互比較も可能となっている. 評価の結果をふまえ, 分析目的に応じた, 適切な空間的混合度指標の選択基準を策定しつつある. 既存の非空間的混合度指標群との整合性, データの集計単位や補間方法に対する頑健性, 小サンプルデータに対する値の安定性. という3つの観点から, 各指標の適性を判断し, 選択のためのフローチャートを作成している. 現時点では, 選択手法をシステムとしてGIS上に実装する作業を行っている途中であるが, 最終的には, 利用者が容易に指標を選択できる仕組みを構成したいと考えている. なお, 実装にはRとArcGISを組み合わせて用いている.
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