研究課題/領域番号 |
12F02313
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉見 俊哉 東京大学, 大学院・情報学環, 教授
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研究分担者 |
JUNG JiHee 東京大学, 大学院・情報学環, 外国人特別研究員
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キーワード | ラジオ放送 / 日本帝国 / 主体の政治 / 植民地放送 / 海外放送 |
研究概要 |
今年度行った具体的な作業は以下の1~3であり、その成果は4~5のようになる。 1.日本資料調査:放送初期における放送関連談話、ラジオの聞き方の発達と訓練に対する資料を東京大学、NHK放送博物館、国会図書館などで収集した。「帝国」日本の放送に焦点を当て植民地での放送、東亜放送、そして海外放送に対する調査も開始した。 2.韓国資料調査:2013年2月に「帝国」日本の放送に対する研究の一環として植民地朝鮮でのラジオ放送に関する資料を韓国ソウル大学と国会図書館で調査し、当時の新聞・雑誌、資料集などを調べた。日本占領期の東南アジアの放送に関する研究の準備作業としてソガン大学の東南アジア研究グループの助言を求めて研究打ち合わせも行った。 3.理論研究・比較研究:ラジオ放送の精神的・感情的・身体的影響と主体に関する理論的議論を読み解いてきた。比較研究のための外国の放送に関連する資料の調査と分析も行った。 4.学会発表:(1)2013年1月にアメリカボストンで開かれた蟹odernLanguageAssociationのラウンドテーブル『The Affect of Difference:Representations of Racemder Asian Empires』のため「帝国」日本のラジオ放送と情動に関する報告論文を作成した。事情のため出席はできなく、会場で論文を代読してもらった。この内容を発展させた論文を4月ダートマス大学で開かれる学会で発表する予定である。(2)2013年3月アメリカサンディエゴで開かれたAssociation for Asian Studiesの年次大会のパネル『Transnational Mediascapes of the Japanese Empire』を組織、論文を執筆・発表した。(12項参考) 5.論文執筆・投稿:雑誌論文を修正し、投稿した結果、掲載が確定された。(13項参考)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料調査と理論研究が順調に進んだ。本の原稿の一部となる新しい論文を執筆し、発表・投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
1.「帝国」であった日本放送の聴取者の多様な民族構成に焦点を当て、日本ラジオ聴取と放送参加の実態を調査し、戦前と戦中の日本のラジオ文化の多民族的特性と主体形成の複雑さを明らかにする。2.本の一部となる論文を執筆し4月ダートマス大学、5月ソウルの東洋史学会で発表し、学術雑誌に投稿予定である。3.日本における聴取者研究に関する調査も始める。4.新しい資料を取り入れて博士論文を修正し、本の原稿を執筆する。
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