研究概要 |
我々はこれまでの研究で、「エンティティ理論」と「インクリメンタル理論」の二つから成る「創造力の暗黙理論」を明らかにし、それが「知性の暗黙理論」(Dweck, et al., 1995)とは異なるものであることを実証的に示した。そして、エンティティ理論がインクリメンタル理論に比べて人々の創造性の発揮を阻害していることを示した(O'connor, Nemeth, & Akutsu, 2013)。さらに、これまでの研究から、「エンティティ理論」の保持者はグループ内で他者と協力して創造性を発揮することに消極的であることが報告されているが、本研究ではその理由をいくつかの要因に特定した。具体的には「剽窃の恐れ(fear of theft)」や「拒絶の恐れ(fear of rejection)」等である。 さらに、これまでの調査を通して、他人から自己のアイデアを拒絶されることへの不安の高さが彼らの協力行動に影響を及ぼすことがわかった。すなわち、この不安の高い個人は、そうでない個人よりもアイデア共有に関して消極的であるということである。そして、これはアイデアの共有を要求するような場面(i.e. ブレインストーミング)においても同様にみられた。申請者らは、実験を通してこの影響を検証した。ここでは、「アイデア共有に対する不安度合い」をあらかじめ測定した上で参加者には実験に参加してもらった。その上で、参加者をグループ(4人ずつ)に分けた上で、課題に対するグループディスカッションをしてもらった。この調査はまだ継続中であるが、現時点で上記の予想を支持している。 【参考文献】Dweck, C, S., Chiu, C., & Hong, Y. (1995). Implicit theories and their role in judgments and reactions : A world from two perspectives. Psychological Inquiry, 6, 267-285.
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