研究課題/領域番号 |
12F02323
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
萩原 薫 大学共同利用法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授
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研究分担者 |
GE Shao-feng 大学共同利用法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | 素粒子物理学 / 粒子理論 / ニュートリノ / 原子炉ニュートリノ / 大気ニュートリノ / ニュートリノ振動 / CP立位相 / 素粒子実験将来計画 |
研究概要 |
初年度中にほぼ完成させた次世代の原子炉ニュートリノ振動実験に関する研究については、50km付近の基線長における振動パターンの精密測定でニュートリノ質量階層性を定める実験の可能性を検討し、ニュートリノ質量階層性の決定のために必要となるニュートリノのエネルギー測定精度の評価と、実験データの統計的揺らぎを考慮に入れた将来実験の物理発見可能性の定量的評価とを完成させた。成果は論文として発表し、専門誌JHEPに掲載された。 レプトン混合パターンを離散群に対する不変性から理解する試みを、特別研究員のGE博士と、米国ミシガン州立大学のHanlon博士、Repko教授との共同研究として完成させた。結果を論文として発表し、専門誌Physics Lettersに掲載された。 南極の超巨大検出器PINGUによる大気ニュートリノ振動実験の物理的可能性を検討する研究課題については、南極圏での大気ニュートリノフラックスの経緯度分布、検出器の測定精度等の基本情報を整理し、地球を貫通する基線に沿ったニュートリノ振動確率の高効率な数値計算法の開発を行い、物理的観測量とニュートリノ模型のパラメータ、特に質量階層性とCP位相との関係を明らかにした。成果を論文として専門誌JHEPに投稿し、現在査読中。この研究の継続として、現実的な物理シミュレーションに基づく測定可能性の定量的評価を行い、ニュートリノ質量階層性と2-3混合角が45°以上か以下かの不定性の除去との2目標がPINGU検出器完成後数年で達成可能だとの結果を得た。成果を投稿論文として準備中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
将来の原子炉反ニュートリノ振動実験に関する研究成果が専門誌JHEPに掲載され、被引用数21回との国際的評価を受けた。南極で計画されている巨大検出器PINGUの物理的発見可能性については、新しい系統的な解析手法を確立し、具体的な事象シミュレーションによってその有効性を証明することができた。また、GE博士のフレーバー対称性に関する研究について、米国の研究者との共同研究が完成し、結果を論文として専門誌Phygics Lettersに発表した。
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今後の研究の推進方策 |
先ずは、PINGUに関する2論文を専門誌に掲載する。続いて、日本に於ける新しいニュートリノ振動実験の提案として、神岡の北方10㎞に巨大サイクロトロンを設置し、静止反ミューオンの崩壊による特徴的な反μニュートリノから反電子ニュートリノへの振動を神岡のスーパーカミオカンデ、及び計画中のハイパーカミオカンデで検出する実験により、レプトン混合に含まれる新しいCP非保存位相を測定する可能性の検討を行う。
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