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2012 年度 実績報告書

西南日本及び世界の他地域における深部低周波微動の高度モニタリング手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12F02329
研究機関東京大学

研究代表者

小原 一成  東京大学, 地震研究所, 教授

研究分担者 CHAO Tzu-kai  東京大学, 地震研究所, 外国人特別研究員
キーワード深部低周波微動 / トリガリング / プレート境界 / 活断層
研究概要

西南日本のプレート境界巨大地震震源域周縁部では、深部低周波微動の顕著な活動が既に明らかにされているが、日本列島の他の場所では、北海道で大地震の表面波によってトリガーされた活動以外には知られていない。そこで、まず日本列島全体における深部低周波微動活動ポテンシャルを明らかにするために、大地震の表面波によってトリガーされる微動の探索を目的として、日本国内のすべての観測点のデータを解析し深部低周波微動の有無を調査した。その結果、これまで知られている西南日本や北海道だけでなく、関東北西部、九州南西部、及び九州東方の日向灘でも深部低周波微動が発生していることが明らかになった。これらの深部低周波微動の存在は、その場所で定常的に深部低周波微動が発生している可能性を示すものであり、活断層の深部におけるゆっくりすべりを反映する可能性がある。以上の結果を2012年12月に米国サンフランシスコ市で開催された米国地球物理学連合において発表した。また、カナダのクイーンシャーロッテ諸島において、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震などの大地震の表面波によってトリガーされた深部低周波微動の存在を明らかにし、その研究論文は米国地球物理学連合の雑誌に掲載された。
以上のトリガー微動だけでなく、西南日本に定常的に発生している深部低周波微動の発生位置等を高精度に把握するため、米国で開発された微動検知システム(WECC)を西南日本の微動データに適応するためのパラメータ調整、システム改良を行ない、微動のカタログ作成に着手した。また、世界の他地域で発生する深部低周波微動活動を解明するため、台湾におけるデータ解析を進め、付近で発生したマグニチュード6の地震の後に微動活動が活性化したことを明らかにした。台湾では、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの沈み込みの関係が南北で逆転するなどテクトニクスが複雑であり、沈み込むプレートの形状も明確ではないため、深部低周波微動の分布を精度良く推定することで、テクトニクスの解明に繋がる可能性があり、深部低周波微動の研究はその意味でも非常に重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既存の日本側システムによって作成されたカタログとの比較については着手していないものの、日本国内のプレート沈み込みに関連しない新たな深部低周波微動の発生を認識できたことは特筆すべき点である。また、2年目以降に予定していた台湾における深部低周波微動の解析が進んだため、研究計画全体としては、おおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

西南日本の深部低周波微動活動の把握精度向上のため、引き続き新たな深部低周波微動検知システムの適用を進めるとともに、既存のカタログとの比較を行ない、システム改良に反映させる。日本で新たに検出された、プレート沈み込みとは関連しない深部低周波微動について、深部低周波微動源やその発生メカニズムに関する解析を進めるとともに、台湾における深部低周波微動活動の解析結果を取りまとめ、論文執筆を進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Tremors along the Queen Charlotte Margin triggered by large teleseismic earthquakes2013

    • 著者名/発表者名
      C. Aiken, Z. Peng, K. Chao
    • 雑誌名

      GEOPHYSICAL RESEARCH LETTERS

      巻: VOL. 40 ページ: 1-6

    • DOI

      doi:10.1002/grl.50220

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tectonic Tremor beneath Cuba Triggered by the Mw 8.8 Maule and Mw 9.0 Tohoku-Oki Earthquakes2013

    • 著者名/発表者名
      Z. Peng, H. Gonzalez-Huizar, K. Chao, C. Aiken, B. Moreno, G. Armstrong
    • 雑誌名

      Bulletin of the Seismological Society of America

      巻: Vol. 103, No. 1 ページ: 595-600

    • DOI

      doi:10.1785/0120120253

    • 査読あり
  • [学会発表] Widespread Triggered Tremor in Japan Following the 2012 Mw8.6 Sumatra Earthquake2012

    • 著者名/発表者名
      K. Chao, K. Obara
    • 学会等名
      American Geophysical Union Fall Meeting
    • 発表場所
      San Francisco (USA)
    • 年月日
      2012-12-06
  • [学会発表] Love Wave Triggering of Non-Volcanic Tremor in the Nankai Region, Southwest Japan : Observations and Physical Interpretation2012

    • 著者名/発表者名
      B. Enescu, K. Chao, Z. Peng, H. Gonzalez-Huizar, K. Obara, D. Hill, T. Matsuzawa, S. Tanaka, K. Shiomi, T. Takeda, A. A.Velasco .
    • 学会等名
      American Geophysical Union Fall Meeting
    • 発表場所
      San Francisco (USA)
    • 年月日
      2012-12-06

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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