研究概要 |
トリフルオロメチル化やトリフルオロメチルスルニル化反応を, 試薬開発という切り口で挑む。初年度である平成24年度では, 超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬を合成系内で発生させる手法の開発を検討したが, 平成25年度では, それらの知見を活かし, 取り扱いのよういな超原子価ヨウ素構造を持つ求電子型的不斉トリフルオロメチル(CF_3)化試薬の開発を検討した。標的試薬構造として, 安定で且つ反応性の高い超原子価ヨウ素型トリフルオロメチル化試薬であるTogni試薬に, 予め不斉発現機能を組み込んだ不斉CF_3化試薬を設計した。本試薬の合成をするにあたり, 不斉CF_3化試薬自身の不斉点をいかに構築するかが課題となった。そこで当研究室ですでに開発に成功しているケトン類に対する求核的不斉トリフルオロメチル化反応に着目し, それを応用することとした。種々検討の末, シンコナアルカロイド触媒を用いることにより, 高立体選択的に不斉CF_3化試薬のテンプレートとなる光学活性トリフルオロメチルアルコールを合成することに成功した。得られた化合物を用い, 酸化反応など3段階の分子変換を経て目的の不斉CF_3化試薬を合成することに成功した。一方, トリフルオロメチルスルホニル化反応に関しては, 医農薬品候補化合物合成の担い手になるにも関わらず, その手法は極めて少ない。トリフルオロメチルスルホニル基のビニル位への導入法に関して, 酸化的カップリングを軸に種々検討したが, 目的物の単離には至らなかった。しかしながら, 分子内のフェノール性水酸基を予めトリフルオロメチルスルホニル化, 近接するビニル位を臭素化した化合物に対し, 塩基処理を行うとthia-Fries転位によってビニル位の臭素が外れ, トリフルオロメチルスルホニル化されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビニルトリフルオロメタンスルホニル化合物は, 臭素をリチオ化し, 転位反応により合成し, この研究は論文化した。不斉求電子的トリフルオロメチル化試薬となりうる光学活性な超原子価ヨウ素トリフルオロメチル化合物を合成したが, 不斉反応への展開溺未検討であり, 論文化には至っていない。最終年度後半にて研究展開を期待していたが, 当該外国人研究担当者が急遽母国へ帰国することとなり, 研究身分を辞職した。そのため, 当該研究テーマを学生が引き継ぎ検討している。
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今後の研究の推進方策 |
本申請課題研究はその研究担当者が母国へ帰国したため, 完成しなかった。現在, 当該研究室の学生が, 研究を引き継ぎ, 研究を継続している。
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