研究課題/領域番号 |
12F02348
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
村田 英幸 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授
|
研究分担者 |
VOHRA VarunK. 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 外国人特別研究員
|
キーワード | 二層積層型太陽電池 / 濃度傾斜構造 / TEM / EDS |
研究概要 |
本研究では、活性層の膜厚方向にp型有機材料とn型有機材料の濃度傾斜構造を形成させることによって二層積層型有機薄膜太陽電池の高効率化を実現することを目的とする。活性層中に濃度傾斜構造を誘起させる方法として、(1)p型層表面のラビング処理及び(2)立体規則性の異なるp型層材料の添加を検討する。 平成24年度は、バルクヘテロ型太陽電池の活性層材料として良く知られたp型共役系高分子(P3HT)とn型低分子(PCBM)を用いて、各種の二層積層型太陽電池を作製し評価した。ここで、p型層を形成した後に表面をラビング処理することによって同一材料系を用いて作製したバルクヘテロ型太陽電池を上回るエネルギー変換効率が得られることを見出した。ラビング回数を変えて作製した二層積層型太陽電池の断面構造を走査型透過型電子顕微鏡(STEM)の測定で得られる透過型電子顕微鏡(TEM)像とエネルギー分散型X線分析(EDS)を用いた元素マッピングを組み合わせて分析した結果、ラビング処理した二層積層型太陽電池では陽極側にP型材料が多く分布し、陰極に近づくに従ってn型材料の濃度が増加する理想的な濃度傾斜構造が形成されていることが分かった。次に、立体規則性の高いレジオレギュラーP3HTに立体規則性の低いレジオランダムP3HTを添加濃度を変えて混合したところ、変換効率の向上が確認された。この素子をEDS分析した結果、ラビング処理と同様の濃度傾斜構造が形成されていることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した通りに着実な進展が得られているため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、既存の材料であるP3HTとPCBMを用いたが、今後はより高性能な材料を用いる事で、より高効率の有機薄膜太陽電池の実現を目指す。
|